たせかいうちゅうのたんけん〜ほかのうちゅうをさがしもとめて
「多世界宇宙の探検~ほかの宇宙を探し求めて」
ひとことで言えば「宇宙はビッグバンてぇので始まったと聞きましたが,ほいぢゃあそのビッグバンの前にはいってぇ何があったんで?」という長屋の熊さん的かつ哲学的および根源的問いに対して,旧ソ連出身で動物園の夜間警備員のアルバイトをしながら物理の勉強をしたというタフツ大学物理学教授である著者が大まじめに答えてみましたという本である。
え,その答えをかいつまんで言ってみろ? あなたそれがオレごときにかいつまめるようなもんなら誰も本など書かないのであるが,皆さんご多忙であろうから一応サワリの部分だけ(結局かいつまむんかい)。早い話宇宙は何もないところから生まれたのである。ただしその「無」は量子力学的な「無」であり,量子力学の法則には従っている。量子力学では元素は何の前触れもなく崩壊する。同じように宇宙は何の原因もなくトンネル効果で出現したのである。量子力学的にすべては確率であり,そうやって宇宙が出現する確率もゼロではない以上いつかは起こるのであり,起こった証拠に今これを読んでいるあなたが煙に巻かれているのである。
アタマのいい人には以上の説明で充分なはずだが,熊さん八っつぁんが言いそうな「ほいぢゃそのトンネル効果の前には何があったんで?」という問いにも答えておく。そこにはそもそも「前」というものがないのである。宇宙ができたので時間が生まれたので,宇宙がないところには時間的な前後というものはありえない。なるほど,前に時間の本(「空間の謎・時間の謎」)を読んだ時,我々は生きていて「今」を体感しているので,「過去」があったような,あるいは「未来」もあるような気でいるが,「今」のないものに「過去」も「未来」もあらへんやん,と分ったような気にさせられたもんだったが,宇宙も実はそういうもんらしいのだった。
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