いーみゅれーたー
Emulator
アメリカはEmu Systems社が1981年に発売されたデジタルサンプラー。 今では当たり前となった「サンプリング」も当時は最新技術(笑)でSynclavierとかFairlight CMI等という千万円クラスのウルトラ高価な機材でしかできなかった。このEmulatorが初めてミュージシャンに手の届く(と、言ってもまだまだ高かった)サンプラーとして登場した。
■ 歴史
製造元であるE-mu Systems社は1970年にカリフォルニア州サンタクルーズで興された。元々はモジュラー式のシンセサイザーを教育機関や一部のミュージシャンに販売していたが、1980年夏のNAMMで発表されたオーストラリアはFairlight社によるCMIにヒントを得てEmulatorが開発された。Fairlight CMIや東海岸はNew England Digital社製のSynclavierは当時の価格でも$50,000以上もし、おいそれと手が届くものではなかった。しかしEmulatorは$9,995とプロのミュージシャンであれば手が届かない値段ではなくなったために普及した。
Emulatorは1981年に発売され1984年まで販売されていた。E-mu Systems社はその後Ensoniq社と合併、更にシンガポールのCreative社(SoundBlasterの開発元)に吸収され現在はEmu-Ensoniq社として存続している。
■ 仕様
1981年に出たオリジナルバージョンはなんと2ヴォイス。使い物にならないのでそのすぐ後に4ヴォイスと8ヴォイスのバージョンが発売された。(自分の所有しているのは8ヴォイス) 49鍵しかないキーボードは上25鍵、下24鍵それぞれにサンプリング音を割り当てるようになっている。49鍵フルに使いたい場合は同じ音を高低サンプリングする。もちろん上下で違う音を鳴らす事も可能。 外観はグレーの鉄筐体(!)で、フロントパネルがブルー。重さはなんと80lbs.もある。シーケンサーも内蔵しており、簡単なフレーズならシーケンシングできる。
現在のサンプラーとは異なり単純なサンプリングしかできない。
本体にラインまたはマイクで音をサンプルして使う(当たり前だって)。もしくは5.25"フロッピーディスクからサンプリングされた音をロードして使う。問題は普通のフロッピーディスクが使用できない事。特別にEmuでフォーマットされたディスクにしかサンプルデーターは保存・読み込み出来ない。
■ アクセサリー
発売されたのが1983年なのでMIDIは装備されていないが、RS422端子がついていて別売りのCV/Gateインターフェースを利用してシーケンサーに接続する事ができた。後年J.L.Cooper社がRS422端子をMIDI端子に変換するアダプターとソフトを販売していた。
またJ.L.Cooperによる改造によってフィルターが追加されたものもある(が、非常にレア)。これを元にEmulator IIが開発されたのは有名な話。
■ メインテナンス
Emu-Ensoniq社は存続しているが、Emulatorはすでにサポート外。サポートに問い合わせたところ数年前にすべてのEmulatorパーツは無償でサービス会社等に配布されEmu-Ensoniqにはなにも残っていないとの事。5.25"のフロッピーディスクドライブからOSを読み込ませたり、音色をフロッピー間でコピーさせるユーティリティソフトを立ち上げたり、MIDIのOSを読み込ませたりするのでこれが逝っちゃうとEmulatorはサンプルした音を記憶する事ができなくなる。あとよくいかれるのが電源。ディスクドライブと電源の予備パーツは発見したら迷わず購入するべし。キーボードは当時汎用だったPratt-Reed社製のもので、Prophet-5等と同様こまめなメインテナンスが必要。
Emulator Archiveというイギリスのウェブサイト(リンクを参照)でフォーマッティングソフト(一旦Emulatorにロードしてから使う)を購入できる。ここではソフトやサンプリングのライブラリだけでなくスペアのパーツまで入手可能。ああインターネットってなんて素晴らしいんだろ。
■ その他
日本では多分後期YMOが使用していたので有名だと思うが、自分はアメリカでBilly JoelがPressureという曲でコーラスを弾いていたのが印象に残っている。あと日本では桂文珍がテクノ落語とかで使っていたと記憶している。
==eBayに登場のEmulatorをウォッチング==
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