マスククラブ
THE MASK CLUB
初出は1997年から2001年にかけての連載。
この小説では、主人公が死者として設定されることで、筆者に過剰なまでの筆跡の強さを要請している。この死者はときには360度の視野を持つこともあり、欲望によって移動することも可能だがそれは目に見えないほどの小さな虫に引っかかって可能となるようなものであり、実体を持たない存在であるように思われたが実は蝶のりん紛よりも小さな実体をもつらしいことが示される。この死者が、SMパーティの開かれる部屋の空中を浮遊し、SMプレイに興じる女性の眼球に張り付き、視神経を電子の特急に乗って神経細胞の奥深くまで駆け抜け、記憶物質からのメッセージを解読する。
このような荒唐無稽な設定が結果的に、村上龍の可能性の中心であるエクリチュールの強度、粘度を持つ文体を、極限まで追求させていて、ここ数年で最も完成度の高い作品に仕上がっている。
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村上龍


