ゴルファーヲワラエ!
ゴルファーを笑え!
第二次世界大戦中、スコットランド出身の大尉がドイツ軍の捕虜になった。執拗な拷問にも耐えた男は独房に閉じ込められ、戦争が終結するまでの二年間を薄暗い小部屋の中で一人過ごした。
多くの仲間達は心身共に衰弱して解放の日を待たずに死んで行ったが、終戦後連合軍が助け出すと、その男だけは青白く頬はこけていたものの、何故か身体中から生気が溢れ出ている。
「よく精神を病まなかったね。体力も殆ど衰えていない・・」
不思議に思った連合軍の軍医がその理由を尋ねると、男はごく当然のようにこう言った。
「だって、毎日故郷のホームコースを回っていたからね。頭に焼き付いた18ホールを思い出しながら、来る日も来る日もコース攻略に知恵を絞ってラウンドしていたんで、まったく飽きることがなかったよ」
男は牢獄の暗闇の中で、幼い頃から親しんだスコットランドのリンクスの荒涼たる風景を正確に思い出しながら、黙々と両腕だけのスウィングを続けていたのだ。
それだけでなく、男はやがて解き放たれる日を信じて、腕立てと腹筋運動とスクワットを己の日課とした。
「それで?少しは前より腕が上がったかね?」
ゴルフを知らない軍医が半ば呆れたように聞くと、
「いやぁ、それが・・。15番まではいいんだが、いつも16番に来ると右のラフに打ち込んでね。あそこは厄介なヒースが密生しいて、そこに打ってはいけないとわかっているんだが、どうしてもプッシュアウトしてしまうんだ」
そう応えた男はやがて故郷に戻り、暫くしてから世話になった軍医に手紙をよこした。
『やっぱりだ先生。16番のティーイング・グラウンドは、少しだけ爪先下がりだったよ。プッシュアウトはその所為だったんだ!』
手紙を受け取った軍医は翌日からゴルフを始めた。
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コメント (2)
2002/09/08
Poughkeepsie ヘボの私には無縁の話です。頭の中が真っ白になって1ホール前も思い出せない類いの人間には。フィクションながら「大脱走」のスティーブ・マックイーンの野球(グラブとボール)、「シャーシャンクの空の下で」のティム・ロビンスがクラシック音楽(確かワーグナー?)を想像しながら生き延びるてのにも通じますね。
涙腺子 そもそもゴルフは、貴族が我が子にリーダーシップと自然に打ち勝つ精神管理術と窮地に陥った時の平常心を養う為に与えた、自己鍛錬の為のフィールドでした。
今の日本のような『贅沢な遊び』とは正反対の考え方に基づいた一種の「道場」だったんですね。私はスコットランドに行ってアチラの貴族と話をしたのですが、今でもその伝統は根強く残っているそうです。詳しくは、近々「キーワード」にて。
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