ありふれたきせき
ありふれた奇跡
『ありふれた奇跡』から目が離せない。
このドラマ、身近なものを喪った人とか、自分の命を絶とうとした人とかばっかりが出てくる。そのために受けた心の傷が癒えてなくて、触れないように、悪化しないようにビクビク暮らしている人たちが、たまたまめぐり合ってしまったとたん、お互いまあ、どんどん相手の懐に飛び込んでいって、傷をさらけ出しあい、つつき出し合い、泣くは喚くは愛し合うはの阿鼻叫喚、という内容である。
心に穴が開いていたり、深く傷ついてたりする【他人】を目の前にしたら、普通の人だったらどうするか。たぶん、慎重に、そのことには触れずに、出すぎたおせっかいはせず、ああオレって無力だなあ、なんて軽く自戒するフリしつつも、場の空気を読んで、面倒ごとからは距離をおく大人のスタンス。
そんな卑怯な日本人を、きっと太一は叱責したいのだろう。もっと人に親切に!親身に!愛情を込めて!!!
であるからしてテレビの中の太一世界は、いつでもハラハラドキドキだ。いつ相手の傷に手を突っ込むか、いつ余計なこと言い出して場をぶち壊すか、まるで人間関係の地雷原を目隠しで歩いている人を見るような緊張感!
この一触即発の緊張感と、取り返しのつかない悲惨さは、一種ホラーに近いと思う。
行くなと言われてるのに、ひとりでロッカーに忘れ物を取りに行く若者。ローアングルのキャメラが忍び寄る草むらの陰で、睦みあう恋人たち。倒れている殺人鬼に、簡単に背を向ける主人公(ガバっ!てくるんだよ、こういうとき!)。
わかっていてもどうしようもなく、不幸に突っ込んでいき、ぶち壊れていく登場人物たちから目が離せなくなるのは、きっとこのホラーテイストがあるからに違いない。ゾンビ加瀬亮 VS スクリーミング・クイーン仲間由紀恵!
などと与太を飛ばしつつ、ちょっとは「他人と距離を置くという処世術」を身につけた、自分自身の老成に思いを馳せたりするのであった。オレも昨日で43・・・
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