Hana Makhmalbaf: Buddha Collapsed out of Shame
子供の情景
「子供の情景」は、イランの著名な映画一家マフマルバフ家の次女ハナの長編劇映画第一作。撮影当時、19歳だった。同年のサン・セバスチャン映画祭審査員賞や翌年のベルリン国際映画祭クリスタル・ベア賞(子どもが審査員の青少年部門最優秀賞)を受賞するなど、各国の映画祭で高く評価される。
舞台は、タリバーンによって破壊された古代遺跡群で知られるバーミヤン。6歳の少女バクタイは、となりに住む少年アッバスが教科書を大声で読むのを聞いて、自分も学校に行きたいと思う。ちなみに、アフガニスタンの女性の識字率は20%に満たない(男性でも3割あまり)。
卵をノートに替え、母親の口紅を鉛筆代わりにして、川の向こうの女子の学校をめざす。少女の笑顔が、画面いっぱいに広がる。一方で、ヒヤリとするようなシーンのひとつひとつにこの国の現状がある。そして、“タリバーンごっこ” に興じる少年たちに取り囲まれて・・・「子供たちは、大人がつくった世界で生きている」。
原題は、父モフセンが「カンダハール」公開時(01年3月)の発言をまとめた著作『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』に因む。
3月6日、東京・品川のユニセフハウスで開催された特別試写会では、ユニセフ南アジア地域事務所長ダニエル・トゥールがアフガニスタンの現状についてレクチャーしたあと、ハナが舞台挨拶に立った。
03年、姉サミラの「午後の五時」(カンヌ映画祭審査員賞)のメイキングとして製作された長編ドキュメンタリー「ハナのアフガンノート」は、姉がつくったカンヌのコンペ部門出品の最年少記録のほか、各国映画祭で記録をぬりかえる。このとき13歳。初めてアフガニスタンを訪れたときは11歳だったという。その惨状を目にした父が涙を流し、食事さえとれなくなった情景をくり返し見ながら育った。
皮肉なことに、米国の侵攻でその存在に気づいた国を、世界はいま再び忘れようとしている。「米国が、アフガニスタンに爆弾ではなく本を落としていたら、どうなっていたでしょう。子どもは、大人から暴力も学びます。それはこの国の子どもたちだけではなく、どの世界でも同じです。この映画は楽しめるものではないかもしれませんが、どうぞご覧ください」
いいえ。試写会場はやさしい笑いと、ハッと息を飲む。このとても若い監督が何を見せてくれるのかという、期待に満たされていた。4月18日、神保町の岩波ホールで公開予定。ぜひお子さんとご一緒に──。(文中敬称略)
- 岩波ホール
-
住所:
東京都千代田区神田神保町2-1 岩波神保町ビル10F
大きな地図+周辺の情報
楽天マップにブックマーク
- 電話番号: 03-3262-5252
- 2009/03/09登録
- 2306クリック
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (13)
ネダ
- (四月の旅人)
6月8日、昨年のフジロックで初来日したエアボーン・トクシック・イヴェント(TATE)が、ニューシングル『Neda』をリリースした。 タイトルのネダとはちょうど1年前、...
夏休み 子ども海外特派員募集
- (四月の旅人)
認定NPO法人「国境なき子どもたち(KnK)」がこの夏休み、アジアでいまだ発展途上にあるエリアの子どもたちと交流し、それをレポートする「友情のレポーター」を募集している...
アフガニスタン紛争
- (雲ゆき)
知ってるようで知らない、どこかの国の戦争のこと。 アフガニスタン・イスラム共和国は中東の国。 現地で取材をするフリージャーナリストの記事には、なぜ日本でこのことがあまり報道されず、日本人の関...
TAP TOKYO
- (四月の旅人)
3月22日は国連が定めた「世界 水の日」。9億近い人びとが、今も清潔で安全な水を手に入れることができない。そのため、今日1日だけで4200人の子どもが命を落としてしまう...
「地球に暮らす子どもたち」@NHK BS1
- (brit)
さきほど、たまたまつけたNHKで放送していた番組。(私はNHKプレミアム(海外向け放送)で見ました) いつからやっていたんでしょう!もっと早く見たかった、とひさびさにそんなふうに思った番組で...
“スラムドッグ” のファイナルアンサー
- (四月の旅人)
第81回アカデミー賞で作品賞・監督賞ほか8部門を受賞した「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台は、インド最大の都市ムンバイ。 World Gazetteerの都市圏人口統...
ボクサーの品格
- (四月の旅人)
2000年10月11日、横浜アリーナ。畑山隆則=以下、敬称略=vs坂本博之戦は歴史に残る名勝負だった──と今日(2007年10月15日)、かつて上智大学ボクシング部(!...
CHILDREN SEE, CHILDREN DO
- (四月の旅人)
最近 “モンスター” という形容詞を冠されるオトナが、いたる所に出没しているようだ。私の身近に、そんな人間はいない・・・と思うのだが。 しかし、街中や電車内などで時お...
世界はどうなっちゃうの? こわいニュースにおびえたとき
- (四月の旅人)
大月書店が昨年(2007年)10月から、毎月発行している「心をケアする絵本」の5作目──『世界はどうなっちゃうの? こわいニュースにおびえたとき』。 幼い子どもたちの...
ワールド・ビジョン・ジャパン
- (四月の旅人)
いま世界では3秒に1人の子どもが、本来なら防げる病気で命を落としているという。ワールド・ビジョンは、飢餓・貧困・災害・紛争などに苦しむ子どもたちを支援する。 チャイル...
ぼくと1ルピーの神様
- (四月の旅人)
『ぼくと1ルピーの神様』は、インドの作家ヴィカス・スワラップのデビュー作。 まともな教育を受けたことのない少年が、クイズ番組で史上最高額の賞金を獲得したことで、警察に...
アンネ・フランク・ハウス
- (四月の旅人)
アンネ・フランクが、家族とともに最後の2年間を過ごした家。『死ぬまでに一度は行きたい世界の1000ヵ所 ヨーロッパ編』のオランダの項でも最初に掲載されている。 194...
セヴァン・スズキ──伝説のスピーチ
- (四月の旅人)
1992年リオで、国連主催による初めての地球環境サミットが開催された。多くの政府・経済団体の代表が参加する一方で、NGOの活動が初めて世界的に認知された会議でもある。 ...







ワールド・ビジョン・...
TAP TOKYO
“スラムドッグ” の...


