トータス / TNT
Tortoise / TNT
98年作品。音楽の細かなつくり、楽曲に対する徹底的なアプローチとは全く裏腹に、イージーリスニングな作品を生み出すことができるトータスの大傑作アルバム。前作『ミリオンズ・ナウ・リヴィング・ウィル・ネヴァー・ダイ』の大ヒットにより、一時代の寵児となったトータスとその中心人物ジョン・マッケンタイア(ds)は”シカゴ音響派”という言葉を世界に認知させ、音に存在感を持たせるという偉業を成し遂げた。その後、ステレオラブのプロデューサーやブラーのリミキサーとしてジョンは活躍。そこで培われたハード・ディスク・レコーディングは『TNT』に持ち込まれ、彼らのさらなる飛躍を助けるカタチとなったのだ。
トータスはガスター・デル・ソル、レッド・クレイオラ、シー&ケイクなど今では伝説的でさえあるグループに所属していた、ジョン・マッケンタイアを中心に90年に結成。シカゴのスリル・ジョッキーレーベルから94年にファースト・アルバム『トータス』をリリースした。音のつくりはトランステクノのような繊細なアプローチであったり、ロック、ジャズ、ミニマム・ミュージックであったり、ともかくマルチ・インストゥル・メンタル・バンドとして”器用な”イメージがつきそうなことをやっている。が、音楽的バックグラウンドによるばらつきが一切なく、1つのジャンルとしてトータスというバンドと向き合ってしまえることに、驚きを感じてしまうのが結果だった。その後のセカンド『ミリオンズ~』にしても『トータス・ミックスド』にしても、彼らには妥協ない先鋭的なプロダクトがあるものの、全ての出来上がりがまろやかでいて昔からあったような懐かしみさえ感じてしまうのだ。
そして『TNT』はさらに流麗で日本の四季を感じさせる作品だ。メロディアスで親しみやすく、繊細でいて温かみに溢れている。だが、印象とは別にジョン・マッケンタイアのサウンド・プロダクトは巧妙でトルネードのように舞い上がる手法をもちいている最先端の技術だ。ドラム・ループの音をゆっくり溶かし、ダブ音を潰し、ハウスを前面に乗せながら曖昧にかぶせる。インディーの実験感覚さながらで、前衛的。全く不思議なのだが、これらに作為的な感覚はない。最終的にはコンピュータで作られた音源であるにもかかわらずだ。
完全に国境を越えた、国際的なまでの音楽のブレンドがもたらした、この奇妙なトリップは、今まで味わったことがなかったにも関わらず、劇的なまでに優しい風景を僕に与えてくれた。この1音がどうだとか、論じることが全て無駄になってしまう。考えてみれば、ジム・オルークやエイフェックス・ツインにもそれは当てはまっていた。つまり、考えるだけ考えて、結果、1つのことに改めて気がつくそれだけのことなのだ。
「ただ、音と向き合う。もうそれだけでいい。」と。
だが、そこに至るためにどれだけの音楽と向き合い、どれだけの圧倒的な才能をぶつからせてきたのか?それは宇宙を見るほどに壮大で、奇跡的なことなのだと思う。
- 価格: 2330円
- メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 年(代): 1998年
- 団体名: トータス
- 2002/09/16更新
- 2002/09/16登録
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コメント(6)
コメント (6)
2002/09/16
披露 ことみ 私もトータスならコレだな。
2002/09/22
less 最新作の『スタンダード』もファンが多いですよね。披露 さんは「ジョン・マッケンタイア」とかいてある帯でCD買っちゃうほうですか?僕は何度となくレコード会社のその手法にやられています(笑い)
2002/09/23
披露 ことみ レコード会社の分際で名前を乱用するのは絶対に許せませんよね、ホント。
2002/09/26
less まだ、プロデュースとかだったらいいですけど、友達とか同じ出身とかまで載せるのはやりすぎですよね、うーむ。
2002/10/03
pop★ 去年、新宿Quattroでのライブ行きました。とても良かったです。ユアンマクレガーと浅野忠信を見かけました。
less 面白いメンツですね(笑い)Quattro行きたかったです、行けるときにはいっとけ!ってのが最近僕がなんとなく分かってきたことですね。うーん、羨ましい。。。










