樋口一葉
「知ってるようで読んだことはなかった本を、一度ちゃんと読んでみよう」シリーズ第2弾。
図書館で「何を借りようか」と物色しているうちに樋口一葉を発見、そういえば新紙幣の話もあるしということで借りてみました。
以下、有名な作品ということでネタバレ御免。
【にごりえ】http://www.aozora.gr.jp/cards/...
裕福な結城朝之助に言い寄られる酌婦お力は、自分に思いを寄せて店に通ううちに身代をつぶした源七のことがひっかかっていて、というストーリーらしい。
旧仮名遣いの読みにくさを感じさせないおもしろさで始まった。のだけど。
途中からわけわからなくなってしまった。お力が結城に身の上話を語り始め、源七は女房を離縁したところで、さあどう展開すると思ったら唐突に源七がお力を無理心中に巻き込んでおしまい。まるで途中で打ち切りが決まった連載マンガの無理やりなオチにも似た読後感。
でも巻末解説によれば「近代日本文学の中で明治中期を代表するとみられる」一編というのだから、名作なのだろうなぁ。私の読み方に問題があるのだろうか。文学はむずかしい。
【たけくらべ】http://www.aozora.gr.jp/cards/...
あ、これはおもしろいです。
「にごりえ」の中途半端さを感じた直後だったので期待していなかった分、やられました。
最初はトム・ソーヤにも通じるようなドタバタを展開しつつ、いつのまにか「こいつら、いっちょまえに青春してるなぁ」という感じに。
体がそういう時期を迎えた少女の心理というのは、私は男なので実際のところはわからないけれど、それを理解できず途方にくれる正太少年のほうはよくわかる。
エンディングも「うんうん、なかなかやるね信如くん」って感じ。信如の実際の気持ちは想像するしかないけど、「こいつらが大人になって再会したら、どんなドラマが展開するのかな」と思った。続編をTVドラマ化してほしいけど、一葉ファンはそれぞれの中で続編を想像しているだろうから難しい?
【大つごもり】http://www.aozora.gr.jp/cards/...女中のお峰は、やむにやまれぬ事情から、引出しの一円札の束から2枚を盗んでしまった。しかし一部始終は、屋敷のドラ息子石之助に目撃されていた(らしい)。
………というところまで読んで「このためにお峰は石之助に脅されたりひどいことされたり」などと想像をたくましくさせてしまったが、それはサスペンスドラマの見すぎでした。
石之助が引出しから有り金(残りの48円)かっさらって「拝借」と書き置きしたためにお峰の犯行は露見しない。石之助の動機が、お峰をかばってか、無心のついでかはわからないまま。
なんでこんな終わり方なんだ!少女漫画ならここから、お峰と石之助の物語が始まるところじゃないか!
このあとどうなったんだ?と思っても、「後の事しりたや」で終わっている。自分で書いておいてそりゃないだろ一葉さん。続きが読みたいぞ。
【ゆく雲】http://www.aozora.gr.jp/cards/...
東京で学問にはげむ桂次は山梨の資産家の養子。東京の下宿先の娘・お縫と惹かれあっていたが、養父の都合で、家に帰り養父の娘と祝言をあげ家を継がなければならなくなった。
………そして桂次は帰って結婚してしまい、桂次からお縫への手紙もだんだん減っておしまい。
涙腺子さんいわく『この方の感性では「起承転結」の「結」が欠落しているようで、それがまた何とも奥ゆかしく・・。』とのことですが、この作品は「転」さえありません。
こら桂次、『涙ふく木綿のハンカチーフ』くらいお縫さんに贈ってやれよ。
【十三夜】http://www.aozora.gr.jp/cards/...
一読しても話がぜんぜんわからなかった。不幸くらべでもあるまいしと。巻末の解説を読んでやっと、いくつもの対比がちりばめられたみごとさに気づいた。
娘(といってもまだ幼稚園だけど)を持つ父親としては、どうしても「自分の娘がお関のようなことになって嫁ぎ先からいきなり逃げてきたら」という視点から読んでしまいます。
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最新コメント5件
2002/09/18
信生(ほい!) そうそう。新札の顔として名前が報じられたときに「樋口一葉?『にごりえ』とか『たけくらべ』書いた人でしょ」ってすぐ思い出したんだけど、それがどういう作品だったのかってぇと、読んだことがない。受験のための詰め込みだったなと思って、今回手を出してみました。
2002/10/02
信生(ほい!) 「大つごもり」の感想を追加。なんか、だんだんおもしろく感じてきました。
2002/10/04
涙腺子 この方の感性では「起承転結」の「結」が欠落しているようで、それがまた何とも奥ゆかしく・・。
2002/10/09
信生(ほい!) 「ゆく雲」の感想を追加。「転」もありませんでした。感性なのか計算なのか、いずれにしてもおそるべし一葉。
2002/10/12
涙腺子 確かに「ゆく雲」では明確な「起承転結」も「序破急」もないですね。一葉が明治期の文豪諸士に絶賛されたのも、当時の男文学では描き切れない、女性特有の「浮遊感」が漂っていたからでしょうか。
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