いんしょくじてん
本山荻舟「飲食事典」
たとえば松茸。
(1)秋山第一の香味としてだれ知らぬものはないが、そのくせ古い文献にはほとんどなく、あるのはことごとく江戸時代以降。伏見の稲荷山産が本場物としてもてはやされたが、最初は「洛外の産は田舎松茸」とされていた。
(2)平安朝時代には、形の連想から後宮の禁句とされたが、宝暦(1750)頃、「今後内々の和歌には松茸のことなど読み入れても苦しかるまじ」ということになった。
(3)関東ではマツダケと濁り、関西ではマツタケと呼ぶ。現在では共通してマツタケというが、これは文部省令で全国的に標準語として決定されてから。
(4)長野県産の松茸は、新鮮なうちは京マツダケと偽称して提供され、鮮度が落ちるとはじめて信州物でと明かされたため長い間下積みとなっていた。
こんな話、この本を読んで初めて知りました。本山荻舟著の「飲食事典」。平凡社の仕事です。知ったかぶりをしようと思って買ったんですが、そんな下心を忘れさせられるくらい興味深く読めます。まさか絶版にはなっていないと思いますが、ボクが買った時は、わずか5800円。
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