Inhaling the Spore - A Journey through the Museum of Jurassic Technology
現代のロサンゼルスに存在する驚異の部屋,ジュラシック・テクノロジー博物館。館長であるデイヴィッド・ウィルソン氏の脳内を実体化した,その博物館の背景と収蔵品を紹介するDVDをようやく目にすることが出来た。
デイヴィッド・リンチの映像を見るかのような,謎に満ちた内容(館長の名前もデイヴィッドだ)。固体を貫通する蝙蝠や,イギリス人女性に生えた角などの収蔵品に留まらず,同館を賞賛するコメンテイターとして登場するJ・ポール・ゲッティ博物館の名誉理事やシカゴ大学の芸術史教授の存在も疑おうと思えば幾らでも疑える(野暮なことにも調べましたけどね)。しかし,その真贋の先にある人間の想像力を刺激することこそが驚異の部屋の魅力。夕暮れの下,激しく車が行き来する通りの向こうでアコーディオンを奏でる館長の姿も,意味がありそうでなさそうで印象的。んー,訪問への想いは募るばかり…。
同館の魅力を伝える書籍『ウィルソン氏の驚異の陳列室』と併せて楽しむと,更にこの不思議な世界に引き込まれることでしょう。ちなみに著者のローレンス・ウェシュラー氏も登場。氏が動き話す姿を見て,やっとその実在を認めることが出来ました(それもまた,疑おうと思えば出来るのではあるけれど)。
タイトルの「Inhaling the Spore」は,同館に展示されている巨大蟻の生態を表したもの。カメルーンに棲息するその蟻は,頭上から降り注ぐ胞子を吸い込むことで発病。蔓や木の枝をつたわり,ある高さに達したところで息絶える。しかし胞子は成長を続け,冬虫夏草のように頭部から突出。その先端から自らが発病したものと同じ胞子を飛ばすようになる。
この博物館に憑かれた人々が,その魅力を伝える行動と似ていなくもない。
- 2009/05/07登録
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