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ハッチポッチ文庫

城山三郎 輸出

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政治の既設にあった1957年、『文学界』は第4回新人賞受賞作に城山三郎の「輸出」を選出する。純文学と言うよりも、中間小説に属する趣のこの作品は経済活動を舞台とし、それまでにない新鮮さに溢れている。

 その1927年生まれの経済学者は、受賞に際し、次にように述べている。

 「日本の小説は、どうも、経済の外で書かれているような気がするんです。小説が人間の生きかたを問うものであるとすれば、この経済界でどう生きるか、また、どういう関わりあいかたをしていくかということは、非常に大きな問題であるはずなのに、それらをはずれたところで小説が書かれていることに対する不満がありました。」

 この作品を契機に「経済小説」というジャンルが誕生する。それは政財官界や企業、自治体、経済現象・事件をめぐる人間模様を描き、戦後日本の経済成長を背景に、いわゆる純文学ではなく、中間小説として広く受容されていく。リアリティをもたせるため、作者は綿密な調査・取材に立脚し、細部に亘ってそれを生かしている。一般論の持つ限界を小説は突き抜けられる。しばしば実在のモデルがおり、読者にとって、それを探すのも興味の一つとなっている。登場人物たちが個人的傾向だけでなく、その職業特有の認知順位を持って思考・行動する。主人公が銀行員だとすれば、彼はあくまでもその職業ならではの考え方や動作をする。それを離れては、作品のリアリティが失われる。この点の基準は、いわゆる順額よりもはるかに厳しい。スポンサーに配慮して、その設定を変えてテレビ・ドラマ化などできないし、そんなことを思いつくのは普段から人物造形の彫りが甘い作品を放映しているからにすぎない。ただ、文体と構成に関しては保守的で、類型的な作品も少なくなく、この点で新たな方法を文学史に寄与することはほとんどない。城山三郎が切り開いたこの地平に続々と後継者が出現する。経済に関して見る限り、中間小説の台頭により純文学は歴史的役割を終えたとする平野謙の主張はまったく正当であると認めざるをえない。(佐藤清文 経済と文学より)

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佐高信は、『経済小説の読み方』において、彼らを「日向派」・「暗部派」・「「怨念派」の三種類に大別している。  第一の「日向派」は「普遍派」とも言い、小島直記や城山三郎、...

人名・団体名佐藤清文

  • (ロドリゲス通信)

21世紀を代表する日本の文芸批評家。 描き出す対象を口寄せるかのような文体のシャドウイング技法。ロッキンオンよろしく入る歌詞の引用。機関銃のように繰り出されるシーツオブナリッジ(「蘊蓄のカー...

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