3 Colours Red / Pure
97年作品。マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、プライマル・スクリーム、オアシスというアーティストを輩出してきたクリエイション・レーベルが満を持して送り出したという3・カラーズ・レッドの1stアルバム。UKパンクの影響下で育ったクリス・マッコ-マック(g&vo)が中心となって組まれたこのバンド、結成のいきさつや曲の生まれ方などがとても変わっている。偶然の産物であったバンドが生まれていった軌跡と、この出来上がった素晴らしい作品をご紹介したい。
クリスがピート・ヴッコヴィック(vo&b)と知り合ったのはクリスの友人の紹介からだった。そして、郵便でのみ彼らはやりとりを行い、4トラックで録音した自分の音源を送りあい、お互いが影響を受け、親交が深まっていった。今で言えばメル友みたいなものだが、そこで彼らはバンドを組もうという話にまで夢を膨らませてゆく。元センセレス・シングスのベン・ハーディング(g&vo)もまたこの夢物語に加わった1人で、送られてきた音にアレンジを加え、バンドのジャムは電話で済ませた。ドラムのキース・バックスターはピートの古くからの友人でこのヘンテコないきさつと出来上がる音のカッコよさに賛同、かくして3・カラーズ・レッドは生まれたのだった。
郵便と電話のやりとりは3ヶ月続き、彼らはやっと顔合わせをした。E-mailでもそうだが、こういうときは古くからの友人に出会ったように感慨が深いものだ(僕も実際関心空間でやりとりしていた人にあったときはそりゃ嬉しかった)。本当にいいやつなんだろうか?という不安が払拭されていったのはもちろん、実際に音あわせをするほうがもちろん楽で、曲が固まっていく実感はひおしおだったことだろう。その後,ライブをはじめてすぐに話題は騒然。毎回SOLDOUTの噂を聞きつけたクリエイションは契約を結び、めでたく彼らはレコード・デビューを飾る。
『ピュア』はバンドサウンドにすることは念頭にいれていたが、出来上がってみると我の強さがたくさん見えてることが、まず面白い。曲作りにはひとりでいる時間の方が長かった結果なのだろう。さらに下敷きははっきりパンクとわかるものの、メロディ重視による曲のテーマは複雑だ。皆の意見がしっかりと反映されているのもここでしっかりとわかる。
1stシングル”ニュークリア・ホリディ”(#04)はオアシスのデビューシングルよりも上位にランクされ、彼らのメロディアス・パンクは突然に世間に広がった。ピートのヴォーカルのエモーショナルさが、多面性を持っており、初期ワイルドハーツ(ちなみにクリスはワイルドハーツのダニーの弟だったりもする)が持っていた技術のしっかりした骨太メロディアス・メタル・パンクを踏襲していたサウンドは、ブリット・ポップ全盛の中でとりわけ光った。
最初にパーソナル・スペースがきっちりしていたから彼らは馴れ合わずに音を作り出せたのだろう。変にジャムに頼るバンドではなかったことが上手く作用をしたのだ。さらに、彼らはともかくライブを繰り返し、オーディエンスを自分達の中に取り込んだ。これが躍動感溢れる曲へと導かれ、素晴らしい音がレコードいっぱいに広がっていったわけだ。
”ラブズ・クレイドル”(#13)でピートは歌う。
しばらくは俺と一緒にいてくれ…
ただで人生を条件とするよ
どこにいようと愛のゆりかごだ
素晴らしい仲間と会えた喜びと、愛を感じるピートのヴォーカルはここで最高の域に達する。愛を感じた聴き手が彼らに惚れてしまうのはいたしかたないのではないか?
99年の『リヴォルト』以来アルバムリリースのない彼らだが、UKでライヴは今も盛んに行われている。そろそろ彼らの新たな痺れるメロディを僕は受け止めてみたい!!
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