関心空間はブックのクチコミも満載!

新着

... もっとみる
ログイン | ユーザー登録(無料)

Shooting an Elephant

「象を撃つ」

《ところがその瞬間、私はちらっと、ついて来た群衆を見た。それは巨大な、最低二千人はいる人波で、一分ごとにますます大きくなってきていた。道の両側を、ずっと向こうまでしっかり塞いでる。けばけばしい色の服の上の、黄色い顔たちの海を私は見た。どの顔もひどく嬉しそうで、このちょっとしたお楽しみにわくわくしている。象は撃たれるものと誰もが確信していた。手品を演じようとしている手品師を見るみたいに、彼らは私を見ていた。誰も私のことなんか好きじゃない、だが、両手に魔法のライフルを持ったいま、私はつかのま見物に値する存在に変身したのだ。そして私は一気に悟った。やはり象は撃つしかないだろう。人々はわたしにそれを期待しているのであり、私はそうするしかないのだ。二千人の意志が、私をぐいぐい前に、否応なしに押しているのが感じられた。そしてこの瞬間、ライフルを両手に抱えて立ちながら、私は初めて、東洋における白人支配の虚ろさ、空しさを実感した。私はここで、銃を持った白人として、武器を持たない現地人の群衆の前に立って、一見劇の主役のように見えている。だが実のところは、背後の黄色い顔たちの意志によって前へうしろへ押されている滑稽な操り人形にすぎない。その瞬間私は悟った。白人が圧政者となるとき、彼が破壊するのは彼自身の自由なのだ。》

------- ジョージ・オーウェル「象を撃つ」( 柴田元幸訳 『monkey business』2009 Spring vol. 5 対話号 掲載 )

「象を撃つ」

このページに
携帯でアクセス

2次元バーコード対応の携帯で読み取ってください

Lucy画像 投稿者:
Lucy
詳細情報
  • George Orwell, "Shooting an Elephant" (1936)
  • モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号
  • 2009/07/18更新
  • 2009/07/18登録
  • 2392クリック

このキーワードを共有する

コメント (0)

まだコメントされていません。

つながりキーワード (8)

スペイン内戦は、いわゆる左翼思想の美徳と高潔さ、そしてその限界と醜悪さを体現していると言う意味で、ヴェトナム戦争以上の歴史的意義を持っていると思う。 「ファシストと戦う...

フィクションの力でアパルトヘイトと闘った「想像力のゲリラ」と称される南アフリカのナディン・ゴーディマは、自分は事実に基づいたノンフィクションのエッセイや記事を書くけれど、フィクションでしか表...

「なぜ、私が黒人の解放運動にかかわっているかといえば、それは白人の解放にもつながるからですよ。白人は、私たち黒人が自由の身になるまで、決して自由になれない。 勝つ側につき...

17 November 2010 Lucy wrote: 2010年11月13日 (Sat) 5:oo p.m. (日本時間 7:30 p.m.) 、 アウン・サン・ス...

ジョン・レノンとオノ・ヨーコが、プラスティック・オノ・バンド (Plastic Ono Band ) として1972年に発表した2枚組アルバム。バック・バンドはエレファン...

動物

  • (Lucy)

「いわゆるテレパシー能力は、動物たちにとってごくあたりまえのリアルなコミュニケーション方法なのですが、とくに象は優れたものを持っています。 象の場合、そうした本能的な能力...

《神話も人類の歴史のはじまりは、選択という行為にあるといっている。しかし、神話はこの最初の自由な行為が、どんなに罪深いものであり、またその結果生ずる苦悩が、どのようなもの...

村上春樹の短編小説を演劇にしたもの。 2005年、ロンドンのバービカン・シアターでの公演を見ました。 「象の消滅」と「パン屋襲撃」と「眠り」が合体した作品でした。 ...

携帯でこのページにアクセス

「象を撃つ」

2次元バーコード対応の
携帯で上の画像を読み
取るとアクセスできます

トラックバック (0)

まだトラックバックされていません。

トラックバックURL
http://www.kanshin.com/tb/keyword-1885684

キャンペーン


ロケットニュース24

未来検索 ガジェット通信
ページの先頭へ ページの先頭へ