ロキシー・ミュージック / フォー・ユア・プレジャー
Roxy Music / For Your Pleasure...
73年作品。ザ・セカンド・ロキシー・ミュージック・アルバム。初期ロキシー・ミュージックの重要なアルバムといえる作品『フォー・ユア・プレジャー』は突然のブライアン・フェリー(vo)のヴォイスに乗せる新たなダンス・ビート”ドゥ・ザ・ストランド”で幕を明け、イーノが処理するテープの逆回転サンプリング”フォー・ユア・プレジャー”で終演を迎える。実験的な音楽と妖艶な魅力が詰まった彼らの才能がどこへ向かうのか、演劇を楽しむかのような聴き手を弄ぶ彼らの魅力は、彼らのラストアルバムまで延々昇華を繰り返し、そして最高点を迎えて解散を遂げる。そのめくるめくポップワールドは今も僕を包み込みつづけている。
72年にシングル「ヴァージニア・プレイン」で颯爽と英チャートを賑わせ(最高4位)、1stアルバムはトップ10に入り、華々しいキャリアを幕開けたロキシー・ミュージック。過剰なメイクを施したグラマラスなイメージ、ファンタジーのようなサウンドは”50年代とSF的未来の結合”と噂された。アリス・クーパー、デヴィッド・ボウイの前座に抜擢され、さらに注目を集めた彼らはシングル”Pajamarama”を発表、これまた大ヒットをする。勢いのあるまま作製されたセカンド・アルバムが成功を収めたのはいうまでもない。
『フォー・ユア・プレジャー』はレコーディングに入る前に2代目ベーシスト、リック・ケントンがクビになり、以後ベーシストはゲスト扱いで迎えることになった作品でもある(ちなみに、本アルバムでベースを弾いたジョン・ポーターはスミスのプロデューサーとしても有名)。プロデューサーは、はじめ元ヴェルヴェッツのジョン・ケイルに依頼したが、契約の関係上実現せず、ジェネシスのプロデュースで有名なジョン・アンソニーに決定したものの、リハーサル時点で巧くいかず物別れになったりと困難を極めた。結局、クリス・トーマス(これ以後ロキシーの多くの作品をプロデュースする)と彼のエンジニアであるジョン・パンターが共同プロデュースをすることに落ち着いている。
さて、本作では、独特のグラマラスなヴォイスを発するブライアン・フェリーの魅力がさらに発展。グラムの新時代を創造する彼らにふさわしい魅力を既に備え付けはじめていることに驚く。雰囲気を巧みに作るフィル・マンザネラ(g)のギターワーク、怪しげさを付け加えるアンドリュー・マッケイ(oboe&sax)のオーボエとサックス、ブライアン・イーノ(syn)の類い稀な才能は、さりげなく自己主張されており、異分子的な感覚がロキシーの音の層を何段階にも増やしている。前述した”ドゥ・ザ・ストランド”(#01)や、”エディションズ・オブ・ユー”(#04)は現在のライヴでもラストで頻繁に演奏されるほどの独特なノレるナンバーで、A面ラストの”イン・エヴリ・ドリーム・ホ-ム・ア・ハートエイク”ではモノラルからステレオへ音がアップしていくという手法を取り入れた実験的なナンバーである。このように、レコードA面は実に異次元へ運ばすように耳を喜ばしてくれる。だが、一転LPのB面に当たるブライアン・フェリーのダークで耽美的な世界は印象的だ。前半は音で楽しみ、後半は歌詞に溺れるといったらいいのだろうか?特にラストを飾る”フォー・ユア・プレジャー”(#08)の歌詞は物悲しく言葉をゆっくりと重ねていく。
君はスターたちとお付き合いして夜の空に明るく輝く
歳を重ねながらも 君は目覚めすばやく戦うのさ
朝になれば 君がゆうべ悩んだ事だって晴れていくだろう
物事がうまくいけばいいんだけど。。
老人は歩みを重ね変わっていく
去っていく僕をただみつめる君
「何をすれば変わるのだろう、何をすれば。」僕が歌詞から感じた言葉は当然ブライアン・フェリーには届かない。そして劇は終わりを告げる。「何故と聞かないで…」のセリフを逆回転させるイーノのプレイによって。そしてイーノはこのアルバムの発売後、グループを脱退をしてしまうのだ。
グラム以降のポップ・グループと呼ばれることになるロキシーだが、グラム絶頂期にはまた彼らの標榜する世界観があった。そして、彼らはその時その時で耽溺させる劇場を僕らに用意してくれていたのだ。ロキシー・ミュージックの素晴らしさの真骨頂は正にそこにある!
「Roxy Music / For Your Pleasure...」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
つながりキーワード (5)
Sparks / Kimono my house
- (Bii)
すでにアルバムジャケット自体がヘンタイとしか言いようがないスパークスの1974年の「キモノ マイ ハウス」。ロキシー・ミュージックとかコックニー・レベルとかがすぐ引き合い...
Jealous Guy / Roxy Music
- (Bii)
ジョン・レノンの"Jealous Guy"を82年にロキシー・ミュージックがグラスゴーのアポロシアターで演奏したものが私の名曲中の名曲のひとつ。 これはオリジナルじゃな...
Roxy Music / Avalon
- (less)
82年作品。AVALON[ケルト伝説]とはアーサー王や英雄たちが死後運ばれたという西方海上の極楽島のこと。ロキシー・ミュージックはどこからともなくこの場所に行き着き、感動...
グラム期にデビューした英国ロックバンド。 Re-make/Re-modelして始まった1stアルバムや、3作目の「Stranded」、それにラストの「Avalon」もい...
75年作品。アンビニエントミュージックの創始者であり、現在シーンに多大なる影響を及ぼし続けているブライアン・イーノのターニング・ポイントとなる傑作である。 48年サフォ...







For Your Pleasu...
Brian Eno / Ano...
Sparks / Kimono...
Jealous Guy / R...


