サイギョウ
西行
時折、日本人の桜好きは「西行」に拠る処が大きいと思ったりもする。
それほど西行は桜を愛し、桜の歌を詠んだ。
『 仏には 桜の花を たてまつれ
わが後の世を 人とぶらはば 』
そして、世に「西行」に係る書物は数多くあるが、
ボクは白洲正子の描いた「西行」を随一としたい。
白洲正子は桜を愛した歌人をもう一人用意する。
『 世の中に 絶えて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし 』
これは在原業平(古今集)の歌だが、極めて逆説的に桜を愛でた理由は、これが藤原摂政家に疎外されて都を放逐された惟喬親王の別業である「渚の院」で詠まれたことが大きな理由でもある。
待賢門院璋子・崇徳院の悲劇を知る二人は、歌の世界に於いても反藤原を認め合う仲だったのであろう。
白洲の文章は毅然としているが、断固ではない。
詞足らずのように見えて、饒舌を嫌うだけである。
つまりそれは、白洲自身が第一級の歌人であることに
他ならないからである。
西行法師に因んで、世を捨てて浮浪の旅に出ることを「サイギョウ」すると言い、「山家集」を捩って野山に暮す者を「サンカ」と呼び習わしたと言う説もあるが、それは後世のコジツケに過ぎないだろう。
写真は南木曽・小椋榮一氏の作品
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