マチノカオ
町の顔
清水義範のエッセイ。『江勢物語』(角川文庫)所収。
「地方都市を歩き、町と人の佇まいを観察すること」を題材としたこのエッセイ。知らない町を歩いてみたい願望、とでもいうものが非常に強い私、大変熱くなりました。
『特に見せるべきものもない平凡な地方都市こそ、見てて楽しいものである。』その成り立ちによって町の顔つきは違っている、という導入で始まります。
キリリとひきしまった顔をした城下町。反対に、ゆるみきった顔をしている門前町。男っぽい顔をした港町。
このあたりで既に私は(実際のところ自分の住む地方からはほとんど出たことないくせに)わー、実感したことはないけれどなんだかとってもその雰囲気はよくわかる気がしてならないー!といったかんじにヒートアップ。
清水氏の卓越した観察眼が伺えます。
『旅をして、ある町に滞在する時は必ず市電、もしくは市内循環バスに乗るようにしている。そうすると町のでき具合がいっぺんでわかる』なんて書いてあります。とりあえず自分、これには激しく同意します。
出かけてきた先で意味もなくバスに乗るのが私はとても好きです。「いっぺんでわかる」とまではいかないけれど、窓の外を凝視して、あ、あれがあるこれがある、といちいち観察しながらいくのが楽しい。このあたりはこういう施設があるから人が集まるな、このあたりは夜になると誰もいないな、その程度のことなら...。
『東京だけを見て日本を語るな』『人間が住んでいるのは東京だけではないのだ。』という提起を経て、実際に清水氏が旅先の地方都市で見た(観察した)町の姿や、ちょっとしたエピソードなど紹介されていくのですが、締めに登場する「明らかに旅行客な格好をした客相手に、店のサービススタンプを集めてるかと尋ねる薬局のおじさん」の話には思わず頬が緩みました。
また、どこかに(←非常に曖昧模糊とした表現)行きたくてたまらなくなりました。苦笑。
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