Ludwig van Beethoven, Symphony No.5 in C minor op.67
ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調作品67」
Bruno Walter指揮のウィーン・フィルハーモニー演奏によるMahlerの交響曲第9番が、はからずも彼のウィーン・フィルハーモニーとのしばしの別れの演奏会の記録であったのに対し(http://www.kanshin.com/index.php3?...)、このBeethovenの交響曲第5番を収録したCDはFurtwanglerの、ベルリン・フィルハーモニーとベルリンへの「帰還」の演奏会の記録である。
1929年のベルリンにいたあの4人の巨匠で第2次世界大戦勃発後も唯一ベルリンにとどまっていたFurtwanglerもまた1945年1月スイスへと亡命した。同年4月30日Hitler自殺、5月7日ドイツ軍無条件降伏。ヨーロッパにおける第2次世界大戦の終焉である。しかしその後も「彼の前にはやはり数々の困難が控えて」(*1)いた。「ヒンデミット事件」などを通じてナチスに対する抵抗の意思を示していたにもかかわらず彼は「アメリカ軍政局がドイツで発行した最初のブラックリストにのせられた。…原則として公の活動を禁じられた」のである。
1946年3月オーストリア政府はFurtwanglerに対する「非ナチ化」の判決を下すが、この判決は連合国によって是認されなかった。連合国は「ベルリンにおいて彼の非ナチ化手続きを行う必要があると決定」(*2)し、同年12月彼の審理が開始され1947年1月に「非ナチ化」との判定が下る。そしてそれから4ヶ月後の1947年5月25日から29日にかけ彼の指揮によるベルリン・フィルハーモニーとの演奏会が実現する。本CDは5月27日の演奏会を収録している。
1954年2月28日から3月1日に彼がウィーン・フィルハーモニーを指揮したBeethovenの交響曲第5番の演奏(http://www.emiclassics.com/...)も伝説的名演である(音質という点では本CDよりも聞き易いかも知れない)。しかし本CDの演奏においては、変幻自在に変容するテンポ、細やかに配慮されたarticulationそしてなによりも素晴らしいオーケストラ。その全てがなんとも表現しがたい音楽空間を形成している。
私の貧弱な語彙と乏しい表現力ではなんとも伝わらないだろう。百見は一聞にしかず。機会があったら聴いてみて下さい。
*1:Curt Riess著、八木浩・芦津丈夫共訳『フルトヴェングラー音楽と政治』(みすず書房、1966)p.241
*2:前掲書、pp.251-252
2002年11月4日:本文中へのリンクの追加
- 人名: Ludwig van Beethoven
- Wilhelm Furtwangler
- 団体名: Berlin Philharmonic
- 2002/11/04更新
- 2002/10/13登録
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