相対性理論 / ハイファイ新書
ソロデビュー、やくしまるえつこ。ついに顔出し解禁(先日、リキッドルーム、Lushで観てきた件は報告済み)。アニメとのタイアップとかはどうでもいいけれど、近田春夫とのコラボレーションってのは気になっちゃいますね。ついでに「ジェニーはご機嫌ななめ」のカバーで、同じくゼロ年代の幕引きを飾ったPerfumeとも繋がった!とか思ったことは、わりとどうでもいいことかもしれません。
ハイファイ新書。『シフォン主義』があまりに衝撃的な内容だっただけに、無意識に多少ハードルを上げて聴いたと思うんですけど、なんと言うか軽々と飛び越えられちゃってビックリみたいな。
坂本龍一がNHKで爆笑問題に「相対性理論って知ってる?」と「テレ東」を聴かせてみせる時代です。そりゃ民主党もバカ勝ちするって話で。ささくれだったギターが鳴りを潜め、ディレイのかかったソフトなギターサウンドが耳に飛び込んできた瞬間に「世界が変わった」と誰もが思うでしょう。その鮮やかなまでに残酷な、受け入れようのない現実を前にして途方にくれ、「あいつらは魂を売った」とかぬかしている知人がいるのですが、僕はその女性がなんだか哀れに思えてきてちょっと泣きましたよ。そして、その悲しみを綴った手紙を瓶に詰め、どこか遠くにいるであろう顔も知らないソウルメイトに届けと、海に流しました…。「なぁ、ブラザー。お前なら分かってくれるだろ?」
と、冗談はさておき、前作と比べるとアレンジのクオリティが格段に上がったという感じで(なによりギタリストのセンスの良さが光りまくり)、バンドの内部事情など当然知りようもなない私には、何がどうなったらこんなに成長できるものなのか不思議でしょうがないのですが、ほんとこのシンプルなバンド編成でこのサウンドの豊かさは、僕が見知ってる範囲での若手勢の中でも異例のクオリティかと。それでいて、良い意味で薄っぺらいんですよ。行き過ぎた自己愛や、キミとボクの間で約束される安っぽい未来、第三者にとってはどうでもいい「ありがとう」的メッセージなどとは無縁な世界観故に、すっと歌に入っていける。この絶妙なバランス感覚が素晴らしい。というか好きです。
「地獄先生」の男性殺傷能力の高さばかりやたら取りざたされる感がありますが、個人的にやくしまる嬢に骨抜きにされたのはやはり「バーモント・キッス」ですね。
わたしもうやめた 世界征服やめた
今日のごはん 考えるのでせいいっぱい
ってなんちゅう歌詞だと。そしてとどめに
とろけるキッスは誰のため
おざなりキッスは誰にする
恥じらいキッスは彼のため
ハチミツキッスはどんな味?
と、もうこんなのあかんでしょう。キスじゃなくて、キッスなのですよ。キとスの間に「ッ」が存在し、あの声で歌われるだけで、こんなに激甘とろとろになるもんかねと。この恐るべきスウィート・ボイスの官能性。岩澤瞳時代のSPANK HAPPYに間に合わなかった男(ドミニクには間に合い、野宮さんは見逃した。ってそんな話は置いておいて、『ハイファイ新書』にハマった方には『COMPUTER HOUSE OF MODE』もオススメしておきます。一番オススメなのは『Vendôme, La Sick Kaiseki』ですが、こちらは相対性理論から大分距離がある上に毒性が強過ぎるので、まあ興味のある方はどうぞって感じでしょうか)としては、やくしまる嬢の今後の活躍に対する期待はいやが上にも盛り上がってしまうというものです。本当は、やくしまる嬢とカヒミさんとの類似性についても語りたいところなんですが、ここはめんどくさいので割愛(笑)。
とここまで読んで、もしかすると「お前は、相対性理論が好きなのか、やくしまるえつこが好きなのか、どっちなんだ?」という疑問をもたれる方がいらっしゃるかもしれませんが、ぶっちゃけ僕自身もよく分からないし、ライブに来ていた多くが僕より年下と思われるファンの方たちを見ても、彼らが何を見ているのかよく分かりませんでした。いやねえ、もうよく分からないのよこのバンド。身もふたもなく、「だから良いんだ」って言っちゃえばそれまでなんですが、まぁこれからも一部の間では当分目が離せない存在として君臨すること必至。コミットするかどうかはあなた次第です。
http://www.kanshin.com/diary/1938043
http://www.kanshin.com/diary/1941083
- 商品名: ハイファイ新書
-
参考価格:
¥2,300 - Amazon 最安価格: ¥1,780
- アーティスト: 相対性理論
- レーベル: みらいレコーズ
- 発売日: 2009-01-07
-
詳細をみる
- 2009/09/27更新
- 2009/09/27登録
- 2961クリック
「相対性理論 / ハイファイ新書」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (6)
『告白』オリジナル・サウンドトラック
- (ウェイン翔太)
6月14日付、映画興行成績No.1、中島哲也監督・最新作『告白』のオリジナル・サウンドトラック。 映画本編は未見なので、なんとも言いようがないのですが、このサントラはヤ...
相対性理論+渋谷慶一郎 / アワーミュージック
- (ウェイン翔太)
ここ数日間、ヘヴィ・ローテーションで聴いてます。以前日記で問題作なんつっちゃって、作品に対して微妙な印象であることを表明していたので意外に思われる方もいらっしゃるかも知れ...
シフォン主義/相対性理論
- (おまんじゅう)
なんか、すっごい今さら何ですけど、 けっこう前から騒がれてたバンドですよね。 音楽好き!みたいな若い人の間では崇められてるっぽい噂を聞いてて、 iTunesで試聴してみて...
STUDIO VOICE 特集『相対性理論』
- (ウェイン翔太)
『ヒアホン』第1号の特集「Perfume/初音ミク/相対性理論はどうしてウケたのか?」といった趣旨の座談会で、相対性理論のインタビュー露出は所謂音楽誌ではなく、どうせ「ク...
Perfume /⊿
- (ウェイン翔太)
出たぁあー!Perfumeの3rdアルバム。前作『GAME』リリースの時に比べると待ってました感こそ大分薄れましたが(まぁ、『ポリリズム』リリースから『GAME』リリース...
相対性理論 / シフォン主義
- (ウェイン翔太)
今日、日本のインディーズ・ポップ・ミュージックに興味があってこのバンドの名前を知らないという人は多分いないでしょう。ちなみに僕はこの作品がCD-Rで出回り始めたころ、「シ...




相対性理論+渋谷慶一...


