テージェヴェタイシンカンセン
図解 TGV vs 新幹線 (ブルーバックス)
クルマに変わる代替輸送手段として、再び脚光を浴びている高速鉄道計画を調べようと思って、脱線して読んでしまった本。
海外輸出の際は熾烈なデッドヒートを演じるなど、世界の高速鉄道の二強と呼んでよい新幹線とTGVを「優劣」を付けずに「比較」した良書。
漠然とライバル視される両者だが、設計思想、運営のコンセプト、背景となった地理的・技術的制約などの違いにより、「標準軌を使った高速鉄道」であること以外は、実はほとんど共通点がない。さらに、これは本書を読むまで気付かなかったが、両者は「高速鉄道システム」であり、鉄道が地面を走る以上、運行管理や安全対策を全て含めなければ、「高速」鉄道を運営することは出来ない。
地震のない、人口が連続して密集した太平洋ベルトのような土地がない、地下鉄並みの過密なダイヤで運行する必要のないフランス産のTGVシステムは、日本では輸送力と安全性の問題で運用できないだろう。また、逆に新幹線を欧州に持って行っても、大きすぎて長すぎるし、国ごとの複雑な電力事情に対応することも出来ないから、やはり無用の長物になる。(だからこそ、TGVのシステムに新幹線の車両を持ち込んだ台湾新幹線は混乱した)
近代文明の象徴である「鉄道」には、その国の総合力がにじみ出る。さらに、時速200km/hを超える「高速鉄道」では、単純な技術力だけでなく、経験により培ったノウハウの積み重ねが何よりも重要になる。だからこそ、「諦めずに続けた」日本とフランスのみが実質的な高速鉄道のリーダーになり得たわけで、他の国はほとんど追従できていない。
著者が専門家なので、技術的な話に入っていくと、素人は何のことかわからなくなるが、背景にあるのは日本と欧州の文化、歴史の違いであるということはわかる。その「違い」に、苦笑してしまう部分もあるが、その「違い」こそが、これだけのものを開国からわずか100年あまりで作り上げたエンジンなのだろう。新幹線システムを完成させた日本という国を誇りに思った。
【新幹線(車両名:新幹線)】
・専用線(標準軌)で踏切無し
・TGVより車両が大型で、編成も長い→輸送力大
・最高速より加速重視の味付け
・人口密集地を線で結んで発達
・地震・降雪対策済み
・トンネル多い。
【LGV(車両名:TGV)】
・在来線と共用(標準軌)
・在来線を利用するため、幅が狭い
・最高速は速いが加速は緩やか
・パリから放射状に発達
・異なる電力規格で運用可能
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