NHK Hi 国際共同制作
ライプチヒの奇跡
11月10日でベルリンの壁が崩壊した、あの日から20年が経つのだという。
そのベルリンの壁崩壊に先立って、東ドイツで進んでいた事態。前年198年の終わりからライプチヒでは若者たちが政府を批判する活動を開始していた。それが何だったのか、を活動家や市民、当局関係者のインタビュー、記録映像、そして精巧な再現映像で克明に描き出す、という番宣で楽しみにして 番組を見た。89年10月、その集会には7万人の市民が集まり、街頭に繰り出した――。
90分というのは、やはり長尺だ。しかし、これくらいの尺がなくては、ドキュメンタリーの体裁に至らないのだろうし、トータルで伝えられたものの熱さが感じられてこなかったのだと思う。
秘密警察の監視の中で、何がどこまでできるか、その一線を越えたときの権力の暴力がどれくらいのものか、それを受忍することができるか――決して簡単なことではない、個人個人の強い意思に裏打ちされなければできえないであったであろう一つひとつの行動。「初めは一滴のような行動から、それは始まった」という裏側のことが、よく分かったように思う。ドイツには「白バラ運動」の伝統もあった。また、ホーネッカーを頂点とする東ドイツの首脳陣のアナクロなものに、独善に陥る危険性をも改めて思う。
その中で、ジーンと胸が熱くなるようなシーンというのは、デモのシュピレヒコール。「我々は、ならず者ではない」が、「我々が人民だ!」へと移り変わっていく、その瞬間だろう。
もう一つは、この声高ではないが反体制のアジテーターとなっていく彼らの中で、先立つ中国・北京の、あの天安門広場に始まった中国の民主化を求めた若者たちが、当局の暴力に打ちのめされてゆく姿を撮ったビデオを何度も繰り返し観ていた姿であろう。どうなるか分からない運動の中で、同じ轍を踏まないで目的を完遂できる方法がないか、ということへの模索というものについての真摯さとでもいうものだろう。英雄主義で、世の中は変わりはしないことを、彼らはよく知っていた。
- 2009/10/17更新
- 2009/10/17登録
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