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キース・ジャレット - アット・ザ・ブルーノート、ザ・コンプリート・レコーディングス

Keith Jarrett Trio - AT THE BLUE NOTE THE COMPLETE RECORDINGS

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1994年6月3-5日の3日間にNYCのブルー・ノートで行われたライヴの録音。結成されてから10年を経て初心に戻るかのように3日間クラブに入り行われたギグの様子を、恐らくアウト・テイクなしで発売したボックスセット。結成当初から10年間ありあまる創造力を存分に発揮してきたこのトリオが、自分たちの表現様式を変化させた第一歩の記録となっている。
このトリオは結成当初からコンサート・ホールなどの大バコでライヴを行うことが多かった。そのためか、クラブ・ギグを中心としているトリオよりも表現がダイナミックになりやすい傾向があった。その方向での頂点の一つが<SITLL LIVE>であるが、ピアノ・トリオのもう一方の在り方として、ビル・エヴァンスが行ったヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音などで聴けるような室内楽的な繊細さを伴った演奏様式がある。
キースがクラブに入ったのは、比較的小さなハコで今までよりもより集中度の高い緊密なアンサンブルを行おうとした結果であるように感じる。
表現上の最も大きな変化は、ジャックの表現がより抑制され、繊細な音色の変化を使って表現する場面が増えている点に見い出せる。キースとゲイリーも集中度の高い表現を用いてそれに応えている。しかし、このトリオ特有のグルーヴが失われたわけではなく、コンパクトな表現を用いても充分にそれを表現できるレベルにこの3人が達していることを示している。
<Oleo>を聴くとその傾向がはっきりと認識できる。ジャックならではのフィジカルなドラミングがもつドライヴ感はそのままだが、いつものマッシヴな表現があまり見られない。かわりに、スネア~シンバル系を用いたキザミが効果的に使用され、音色の変化を主体として演奏が展開される。そのため、このトリオがいつも感じさせてくれるグルーヴが非常にカラフルな表情をともなってあらわれてくる。これが非常に魅力的で、このトリオの新しい表現領域を聴くことができる。
また、この3日間にかけるキースたちの意気込みは相当なものだということが実によく伝わってくる。とにかく毎日どのセットにおいても全体の白眉というべき演奏がある。2日目の<Autumn Leaves>は単独別売されているので、これが一つのピークであることは間違いないのだが、3日目の<On Green Dolphin Street>は単にすばらしいという以上に、このトリオが持っている真の魅力を聴くことができる非常に貴重なトラックである。
バップ風のイントロからしてこれからの展開に期待を抱かせる軽やかさをもってはじまり、次第に熱を帯びてテーマに突入した段階ですでに3人がベストの状態に入ったことを感じさせる。特筆すべきなのはゲイリーのすばらしさで、他の2人の隙間を軽やかに駆け抜けているのだか、このトラック全体を通して凡庸な点が一か所も感じられない。すべての瞬間にまったく独創的なライン取りを行っている。こんなことができるベーシストは他にきいたことがない!ジャックも新しい様式の表現を完全にモノにしており、キースはいつも以上にバップ・スピリットを感じさせる。しかし最も興味深いのはひとしきり展開し尽くした12分07秒あたりからの演奏である。このあたりからエンディングに突入するわけだが、ここでこのトリオの真骨頂をきくことができる。テーマからモチーフを取り出してそれを何度か展開してキースが「探り」を入れはじめる。この瞬間こそがこのトリオにしかできないプロセスのはじまりである。次第に新しい旋律の萌芽が芽生えはじめ、15分21秒からその全貌を現す。その後はグルーヴに乗ってこの新しい旋律の動機をもとに展開し18分30秒あたりでもう一度ピークを形成し、それを機会に徐々に収束してこの演奏終わりを迎える。

3日間のドキュメントであるこの録音だが曲目の重複は非常に少なく、アンコールで演奏される<Things Ain't What They Used To Be>や、キースのオリジナル<No Lonely Nights>など数曲である。全体としては、スタンダードの分量が多いのは当然として、それらにバップ・ナンバーやキースのオリジナル、それにこのトリオならでわのインプロヴィゼーションによるイクステンションが加わり、ある種このトリオの集大成的な内容を持っている。全6枚を通して聴いてもおおいに楽しめる。

Keith Jarrett Trio - AT THE BLUE NOTE THE COMPLETE RECORDINGS

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投稿者:
tomo
  • 2001/12/07登録
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