紫の桜
中島みゆきは、年末になると渋谷文化村のコクーンホールで「夜会」という実験劇場を開く。ライブでもないし劇でもないし、かといってミュージカルでもない。ジャンルは違うけど、オペラが一番近いかもしれない。
1999年の演目「海嘯」のクライマックスでは、大道具や小道具のほとんどが姿を消した舞台に。うすむらさきの花びらが降り注いだ。花びらが散るなんてなまやさしいものではない。バケツをひっくり返したような花びらが、どさどさ降ってくるのだ。
その花びらの豪雨の中で、のけぞって、天を仰いで、こぶしをきかせて、空をかきむしって絶唱するのが「紫の桜」だ。過去と現在がいりまじってかなりこんがらがっているストーリーをこの曲一発で解決させてしまうすさまじい曲だ。音楽劇(うん、このいいかたが一番ぴったりくるな)における音楽の力を見せつけてくれる。多少つじつまが強引だろうが、解決されない伏線が残っていようがそんなのは全く気にならなくなる。
オペラに似ていると思ったのはこんなところかもしれない。
ニューアルバム「おとぎばなし -Fairy Ring -」に、この「紫の桜」が収められた。曲調はうってかわって、むしろ淡々と歌い上げるというほどになっている。つじつまもしがらみもなかったら、こんなに穏やかになれる曲だったのだ(シャングリラやEAST ASIAの感じかな)。
そして、穏やかなほうが、怖い。
- 人名: 中島みゆき
- 海嘯 DVD PCBP-00159
- 価格: 12000円
- おとぎばなし -Fairy Ring - CD YCCW-00039
- 3000円
- 2002/10/23登録
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