万治絵入本「伊曾保物語」
ある犬、肉を咥へて川を渡る。真中にて、その影、水に映りて大に見えければ、「我が咥ゆる所の肉より大きなる」と心得て、これを捨てて、かれを取らんとす。故に、二つながら、これを失ふ。
その如く、重欲心の輩は、他の宝を羨み、事にふれて貪るほどに、忽ち天罰を蒙る。我が持つの宝をも、失ふ事あり。
本好きということになっているのに、我が国の古典の一つも読んでいないようでは恥ずかしいんじゃなかろかと考えて、読めもしないのに岩波の黄帯を買い込んでみたりする。読めない。現代語訳付きのを買ってみる。やはり読めない。いや、もちろん現代語訳の方は読めるが、言葉に勢いがないので面白くない。
また同じ事の繰り返しかなと思いながら手にした「伊曾保物語」。おやおや、何だこれは意味が分かるぞ。あれあれこの話し知ってらぁ。イソップ寓話集。江戸日本にも伝来し、浮世絵師の筆になる挿絵を添えられて伊曾保物語として広まったんだと。面白いなぁ。古文読解力が増したような気になるじゃないか。
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