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反社会学講座、続・反社会学講座

社会学とお笑いが合体した本。下ネタ少々。社会学・経済学などのインチキを笑い、データを基に世間の常識を覆す。元はネット上の記事で、それが単行本になり、さらに文庫化される際に加筆修正されたもの。従ってネットで読める部分も多いが、文庫版には「三年目の補講」「四年目の補講」と題した加筆部分がある。読者から寄せられた意見への回答などのほかに、陳腐化してしまった時事ネタ・芸能ネタの言い訳も書いてある。実の兄を勝(まさる)氏と呼ぶ相撲の親方?うーん、ギリギリ思い出せるかな。

続編には講座形式ではない章が二つある。一つはデタラメなビジネス書を揶揄する短編小説。人間愛の欠如した、現場を知らないコンサルタントが恋愛術や接客術を語り、事業の本質を忘れた経営者が小手先のテクニックに走る。どんな矛盾もトラブルも精神論で無理やり解決。ありがちな現状を痛烈に批判していて、表現は控えめだが面白い。もう一つは「新渡戸稲造は武士道ブームを苦々しく思っていた」とする説などを含む章。これが非常に興味深く、個人的には腑に落ちる。

新渡戸稲造は「太平洋の橋」になることを望んだ国際人だ。この本は政治・宗教に深く踏み込まない方針らしく、全く触れていないが、彼はキリスト者で、エスペラントの理解者で、国際連盟に人種差別撤廃の提案をしたヒューマニストだ。人間には多面性があるし変節もあるし立場上の発言もあるから、言行に一貫性がなくても不思議ではないが、それにしても「武士道」は浮いている。以前からそんな気がしていたのだった。

この本の推理によれば、新渡戸は「武士道」を日本人に読ませたくなかった。その証拠として、著者は新渡戸のほかの著作からアンチ武士道とも言える部分を拾い出してみせる。

《まずは『帰雁の蘆』(明治四〇年)。日本の忠・孝なんてのは実践が伴っていない、西洋は相手によって忠だの孝だのこま切れにせず、すべて愛ですましているじゃないか、と日本語版『武士道』発売前なのに、早くも武士道ぶった斬り。》

《『平民道』(大正八年)では、武士を理想とする道徳は時代遅れだと、もはや武士道を全否定。武よりも平和、士よりも民が大事なのだから、これからは平民道だと主張します。》

《人間は〝国家〟より大である。――『日本』(昭和六年)》

こっちが本当ではないのか。しかし平成の世にも武士道ブームが起こる。2004年に日本商工会議所が行ったアンケート「新入社員に読ませたい、この一冊」では、1位が「坂の上の雲」、2位が「武士道」だった。若い人の“ぷちナショナリズム”には同情する部分も少しあるけれど、社長クラスがこれでは困る。


反社会学講座(ネット版)

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