犬は吠えるがキャラバンは進む/小沢健二
私が初めて見た小沢健二は「オザケン」だった。「カワいくって東大、実家には書庫(本だけがある部屋)」というキャラクタを前面に押し出して、なんだかポップでキュートな歌をたくさん歌っていた「オザケン」だ。
その後、どういう経緯だったかは忘れたが、私はフリッパーズ・ギターに少し興味を持ち、そのアルバムをひととおり聴いた。そして、正しく放たれたブーメランのように、このアルバムにたどり返った。そこにいたのは、「オザケン」ではなく「小沢健二」で、そこにあったのは、ギリギリまで切り詰めた音と言葉で真っ直ぐに訴え(かけようとす)る彼の<うた>だった。
このアルバムで私が一番好きなのは「カウボーイ疾走」という曲で、そこにはこういう一節がある。
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舗道まで散らばって戻らない砂
BABY BABY BABY BABY BABY
淋しげにかきならされてるギター
新しい1日がまた始まるだろう 夜明け前の弱すぎる光
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これを初めて聴いたとき、本当に、風景や空気や音が額のあたりにパーッと鮮やかに広がってしまって、こういうのが言葉の正しい意味での「詩」なんだろうなと思ったことを今でも覚えている。
ここで歌われているのは、「弱々しい希望」を抱きながら前に進んでいくことの美しさや(逆説的だけど)強さだと思う。その時も思ったし、今でもそう思う。
- 2009/12/12更新
- 2009/12/12登録
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