イノチ ノ カゼモノガタリ
生命の風物語―シルクロードをめぐる12の短編
以前、モンゴルの旧都カラコルム(KARAKORUM)の在るハンガイ地方を馬で移動しながらキャンプ旅をした。
10日ほどの短い旅の間、つくづく思った。
日本人は「湿気の民族」なのだと…。
日本では、冬季を除けば、ほとんど湿気の中で生活していることに気づかない。
ところが、大陸に渡ると、その乾燥した空気の凄まじさに驚かされる。
30分ほど、水分を採らずに馬に乗っていると、目・鼻・口・喉がカラカラに渇いて息苦しくなって来るのだ。
なので、早め早目の給水を心がけていないと心身ともに干からびてしまう。
同行した現地(モンゴル)の人々を見ていると、園芸で使うような霧吹き器(実際には、お風呂掃除用の洗剤スプレーボトルの再利用だった)に真水を入れて携えている。
それを使い、自分の顔や首筋に向けて、シュッシュッとミストで湿らせている。
毛穴から水分を補給しようというのだろうか…。
試しにボクもやってみた。
なんと、即効、目鼻が生き返った。たはは…。
それ以来、旅を終えるまで、スプレーボトルは手放せなくなった。
そのモンゴル旅は、旧モンゴル帝国におけるシルクロードの東の基点をウロチョロして終わったが、そのカラコルムこそが当時は東西交易の十字路だったのだそうだ。
ここから西へ向かってドンドンずんずん進めば、いずれヨーロッパに辿り着く。
かつて、チンギス=ハーンがそうしたように。
すべての道はローマに通ずるのだ。
マルコ・ポーロもこの道を通って向こうからやってきた。
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さて、甲斐大策の短編集である。
副題に「シルクロードをめぐる12の短編」とある。
アフガニスタンとその周辺国にまたがる諸部族・民族の話だ。
この本で語られている乾いた空気の中で、目や口に砂埃の混じったような描写は、現地で視て、聞いて、話して、さらに触ったことがないと書けないであろう内容ばかりである。
しかも、「国(または国境)」と「諸部族」の関係について、われわれが如何に無知であるかを痛感する。
ただ、「乾燥」と「湿気」の違いはあれども、日本の明治・大正・昭和(初期)の農村地方に多く存在したであろう「独特の集落文化(ムラの風俗・風習)」と似たモノがありそうな気がするのはボクだけだろうか…。
しばらく、甲斐大策の著作をめぐる「読書の旅」にハマりそうである。
件(くだん)の『餃子ロード』も、古書の値段(プレミア価格?)を気にせず入手してしまいそうな弾みがついてしまった。
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