ぬか床から家族のルーツが!?
沼地のある森を抜けて:梨木香歩・著
「糠床小説」ってあるんですね。『沼地のある森を抜けて』。「糠床(ぬか床)」ってこれのこと。「糠漬け」。切った野菜を漬けて糠漬けをつくるベースを差す。
ぬか床は、かつて女性はこれを持って結婚し、婆ちゃんは孫に「ホレ、これで美味い漬けモン作れえー!」と持たせたみたい。
ポイントその一。ぬか床は代々で引き継がれる。ポイントそのニ。コレ、発酵食品である種の「生き物」だってこと。それも手入れ次第(それも、かき回すだけヨ!)、原理的には何百年も生き続けるってこと。やや薄気味の悪いそのなかから、ある日、得たいの知れぬものがヌゥーっと。
「えッ、グロ!!それってエイリアン?」。梨木香歩さんはそこに目を付けた。この作家さん、並みのヒトじゃないなー。数少ない肉親のひとりである叔母が急死。主人公の女性が駆けつけると、その部屋にはぬか床の壷が。ここから妙なものが次々と出現し、紆余曲折の末、このぬか床にはどうやら、主人公のルーツが隠されている・・・・。
途中から酵母論に酵母の「環境フローラ」、なんて私には未知の世界も登場し、粘菌に名前をつけて“可愛いがる”サブ・キャラクターの男まで登場し、どエラい展開になってゆく。
でも冷静に見るとこの小説、家族史を女性の視点で読み込む試みかな?って風にも読める。たとえば、ぬか床を引き継いだ叔母の日記が出てくる。そこに記された若き日の母、叔母のこと。日記を読みながら主人公は、「なんともいえない家庭というものへの懐かしさ。ぬか床という奇妙で決定的な病巣のようなものを抱えながらも、家庭という器はこのように、何とか機能して行くのだ」(245頁)、と書く。
そういえば、昨今とみに「森」に「沼」ガール、の女性類型が話題に。鋭い感性の女性の皆さん、案外、ご自身の根源的なルーツの匂いを嗅ぎつけてらっしゃる?えッ、ぜんぜん関係ないって【・・・!】汗、、、。
下記リンクは梨木香歩インタビュー。
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