妻の精神の危機。それを夫婦は如何にして?
おかえり:篠崎誠・監督
映画『おかえり』(公開・1996)。篠崎誠・監督の実質デヴュー作。「べルリン国際映画祭」最優秀新人監督賞。主演の一人・上村美穂が「ナント三大陸映画祭」最優秀女優賞。かつての「WOWOW」での放送のビデオ録画を観つつ、こんな秀作がその後の再上映もなく、DVDにもなっていないのが残念。
結婚3年目の若夫婦を襲う危機と再生の物語。危機とは妻を襲う「狂気」。家でテープ起こしの仕事をする妻(上村)。塾講師の夫(寺島進)。妻はマンション上階の「窓」から夫の出勤を見送る。何度か妻は、ここから外を凝視している。ごくわずか、ほんの微妙にずれる夫婦の時間。やがて妻は「組織が私たちを見張っている。見回りをしないと組織が動き出す」、と彷徨し始め、警察から措置入院の勧告を受ける事件を引き起こす。
篠崎監督は、破綻とそこからの回復の過程をたとえば、映画内の「もの」に託す。家の「内」で孤独を育てる妻と「外」の夫との精神的紐帯をつなぐ「窓」。夫は妻とともに、塾の子供たちに見せるカブトムシを採集に行った。が、入れた「虫籠」を夫は電車に置き忘れる。再・採集を薦めた優しい妻のことを同僚に自慢げに語る夫。しかし、夫は妻が食事を作って待つことをためらいつつも無視し、同僚と飲んで遅く帰宅する。病いの「トリガー(引き金)」は、用意されていたのだ。
もしも連れ合いがこんな状況になれば!!亀裂はどんなカップルのあいだにも十分、生じ得る。精魂尽きた夫はしかし、入院を恐れる妻を抱きしめて落ちつかせ、入院を回避する決断を・・。そのシーンが延々10分の長回し。
上村と寺島の演技が素晴らしい。精神の均衡の崩れ、その極北とも呼べる孤独感を演じる上村。妻がふたりの「お守り」だと言う新しい虫籠を見つめながら、微笑むときの寺島の表情がすごくいい。
いったい“なに”が帰ってくるというのか?妻が新たに購入した虫籠なのか、それとも?なぜ「おかえり」なのか、篠崎監督は示そうとはしていない。
http://www.bitters.co.jp/filmbook/...
- 脚本・監督・篠崎誠:撮影・古谷伸:配給・ビターズエンド:制作・コムテック
- キャスト・上村美穂、寺島進ほか。
- WOWOWにて2000年頃、放映。
- 2010/02/08登録
- 1830クリック
「おかえり:篠崎誠・監督」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (0)
まだキーワードがつながっていません。






最後から二番目の恋
サイエンスZERO ...


