わたしのたお
私のタオ―優しさへの道
著者の老子体験をエッセイ風にまとめたもの。エッセイ風というのは、老子の考え方は、漢詩の形で表現されたものであり、理詰で理解するのではわからない、誤解するという著者の考えにもとづくもので、読みやすいが理解は、頭だけで理解しようとしても難しい。心が開いていないと理解できないかもしれません。
第一章「私の老子」は著者の老子理解への道筋を紹介。原語(漢詩)からではなく、英語訳から老子に触れた著者が、寺田寅彦、中野孝次、鈴木大拙などとの直接・間接的な交流のなかで老子理解を進めていった過程がよく理解できます。「柔弱」なることの強さ、大切さをここで直観しているが、それがこの時点でははっきりと出ていません。
第二章「反常識の視点へ」は、社会的ルールからではなく、自分というものに本当に寄り添うこと、社会のルールや道徳や形式から自分の心を解放していく自由について、そして無の空間からエネルギーが生まれるのは『宇宙』と人間がつながっているからだということや、物事を分割的に見るのではなく、区別のない混沌とした状態をそのまま一対のものとしてみるという「太極図」の思想、さらに「無」の力について語っています。
第三章「老子の優しさ」では弱いもの、柔らかいものが強いもの、固いものにものに勝つという「しなやかさ」や「優しさ」について、また「母権制(母系社会)と老子の関係、さらに老子と性愛(エロス)との関係について述べています。このなかで「老子原義の研究」(加藤常賢著)についての言及は、これまで無視されてきた老子の考え方の根幹に「性愛」あるということに気づかせてくれます。
「孔子は常識を重んじ、老子は非常識を尊ぶ」無理やり二項対立にもちこむとこんな解釈になるかもしれません。けれど、ものごとのありのままの力を掘り起こし生かすという発想は、野口晴哉「気功」やヨガなどとも類似点が多く見受けられます。毛嫌いすることなく近づいてもいいのかな、などと感じています。
すくなくとも、この本は導入部として読みやすく、お勧めできます。
- 商品名: 私のタオ―優しさへの道
- 価格: ¥1,680
- 著者: 加島 祥造
- 出版社: 筑摩書房
- 発売日: 2009-12
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- 2010/02/15更新
- 2010/02/15登録
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コメント (2)
2010/02/16
花野のK 現代に「老子」の思想が今一度必要かもしれませんね、、、。学生時代以来かなあ~。この人の名に出会ったのは、、。素通りして来ていた一人です。有難うございました。
2010/02/17
wahei 歴史で老子のことは習っていても、素通りしてきているんですよね。「名のない領域(原文では無名と玄)こそ老子の思想の核心だ。この万象万物の中に動くエナジーを老子は『道』(タオ)としてとらえた(中略)今の私たちは「無」の中の生命エナジーを自分の中に意識し、その自然エナジーに従って「争わず」に生きることが大切ではないか(中略)個人の心の中にも争う気持ちはたえず起こる。そこから怒りや嫉妬や悲しみが生じる。この闘争心をどう納めたらいいか。そのひとつの答えは「知足」。老子は心の内面が、足るを知ることで「富む」ことを告げる」なんていう行もあって、すごく現代的だなとも思っています
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