Hattie McDaniel - the first African American Oscar Winner
ハティ・マクダニエル
ほぼ予想通りで、拍子抜けするほどだった今年のオスカーナイト──。受賞後のステージでは、45秒にこめた想いがそれぞれにほとばしり出ていた。
最も感動的だったスピーチのひとつは、「プレシャス」で助演女優賞に輝いたモニーク(※音が出ます)の言葉だろう(Acceptance Speech)。「大衆受けすることよりも、正しいことをすべきだと教えてくれた夫のシドニー。あなたは、正しかった」
彼女は冒頭で米アカデミーへの感謝を述べたあと、次いでひとりのアフリカ系女優の名をあげている。
I want to thank Miss Hattie McDaniel for enduring all that she had to, so that I would not have to.
ハティ・マクダニエル・・・(IMDb ※以下同)。「風と共に去りぬ」(Official)でスカーレットのメイド役として、圧倒的な存在感を放っていた女優だ。気高く、寛容で、ときに口やかましいマミーは堂々たる体躯と、歯を見せてニッと笑うチャーミングな表情とともに、米国社会におけるメイドの理想像となった。彼女はこの作品で、アフリカ系として初めてオスカー(助演女優賞)を得ている。
こちら(YouTube)に、ハティの短く控えめな受賞スピーチが残っている。
Academy of Motion Picture Arts and Science, fellow members of the motion picture industry and honored guests, this is one of the happiest moments of my life, and I want to thank each one of you who had a part in selecting me for one of the awards. For your kindness, it has made me feel very, very humble. And I shall always hold it as a beacon for anything that I may be able to do in the future. I sincerely hope I shall always be a credit to my race and to the motion picture industry. My heart is too full to tell you just how I feel. And may I say, thank you and God bless you.
当時のアフリカ系女優といえば、キャスティングされるのは白人にかしずくメイドばかり。「風と共に去りぬ」にもマミーの対極の存在として、プリシーという名のメイドが登場する。卑屈で、愚かで、怠け者──米国がイメージする典型的な “黒人” 像だった。
演じたのはバタフライ・マックイーン、このとき28歳。のちにニューヨークのシティカレッジで政治学の学位を取得するほどの才女でありながら、ローティーンの役をあたえられ、それを演じきった。そのせいで、自身が帰属していたはずのアフリカ系コミュニティから激しい批判にさらされ、映画界を去ることになる。
ハティは後年、こんな意味のことを述懐している。「私が “メイド役” でオスカーを手にしてしまったために、アフリカ系女優の前に開かれていたはずの可能性を摘み取ってしまった」。彼女たちが正当に評価されるまでにはこのあと実に半世紀、ウーピー・ゴールドバーグ(「ゴースト/ニューヨークの幻」で助演女優賞、アフリカ系女優として2人目)の登場を待たなければならなかった。
いまハリウッド・ウォーク・オブ・フェームには、ハティの星がふたつある。ひとつは、映画女優として。もうひとつは1910年代、アフリカ系としてこちらも最初にラジオで歌ったシンガーとして。(文中敬称略)
photo: Answers.com
- 2010/03/12更新
- 2010/03/12登録
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