ホントに洒脱な半世紀前の
猫―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ
ホレ、父チャンまた猫本に逃避しちゃってるよーッ。アタシ横で寝てあげてんのにいー、なんでほかの猫に心、移すかにゃあ!、と家の黒猫が頭の横で睨みしが、おもしろいんだからしょうがネェだろ・・。随筆コレクション『猫』。タイトルまんま!「クラフト・エヴィング商会プレゼンツ」ってとこもキモですな。プレゼン(これもまんま!)、巧し。ちゃんと読んでくれえーッってオーラ、発してますもん。序文がまた良し。
「(・・)元になった小さな本は、すばしっこくて逃げ足が早く、あまり見かけることのない珍しい本です。(・・)本当に良い本は、読んだ人がなかなか手放なさず、古本屋の親父さんもほとんど見たことがありません。いわば幻の猫。
(・・)このたったいま、そのあたりをうろついていた野良猫と、半世紀前の幻の猫が平然とすれ違い、彼らが依然として、同じひとつの時間の中に居ることを教えられます。(・・)いいチャンスです、この機を逃さず、せめて尻尾ぐらいつかんでみてください。あ、急がないと、もう次の頁へ消えてしまいますよ」(「はじめに」)。
原本は1954(昭和29)年、中央公論社より発行。これを上記・編者がReproduceする。お気に入りの一編を紹介。
●「お軽はらきり」(有馬頼義=よりちか):名前からして粋な雌猫のお軽(もちろん『忠臣蔵:お軽・勘平』よりの命名)の話。有馬は小説家。それも元・貴族の、世が世ならお殿さま、の推理作家。この仔が医者の誤診を“見破って”自分で傷口を食い破って“手術”しちゃう、そんなとんでもない一編。有馬夫妻のすっトボけた会話が、まるでユーモア小説。弟(兄?)・勘平よりもよく啼く彼女を「どうしてお軽はこううるさいんでしょう」(妻)。「女だからさ」(夫)。勘平がボンボンなのに、雄猫に盛んに言い寄られる彼女を夫、評して、「それ見ろ。猫も女のほうが早熟だ」。今の女権拡張論者からしたらトンデモ発言、もご愛嬌で・・。雌猫の凄さを活写する。
(他収録)「みつちゃん」(猪熊弦一郎)。「庭前」(井伏鱒ニ)。「『隅の隠居』の話 猫騒動」(大佛次郎)。「仔猫の太平洋横断」(尾高京子)。「猫に仕えるの記 猫族の紳士淑女」(坂西志保)。「猫 子猫」(寺田寅彦)。「どら猫観察記 猫の島」(柳田國男)ほか、全11編。「あとがき」も洒脱で、読ませます。
ノノコさあ、じっと睨むの、もう止めてくんない、父ちゃん、怖えェーよ!!
レヴュー
- 商品名: 猫―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ
- 価格: ¥1,680
- 著者: 有馬 頼義, 猪熊 弦一郎, 井伏 鱒二, 大佛 次郎, 尾高京子, ほか,
- 出版社: 中央公論新社
- 発売日: 2004-07
-
詳細をみる
- 2010/03/18更新
- 2010/03/18登録
- 1648クリック
「猫―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ」を検索
このキーワードを共有する
このキーワードはコレクションに選ばれています(1)
このキーワードはコミュニティに選ばれています(1)
-
メイン
コメント (0)
まだコメントされていません。
つながりキーワード (3)
クラフト・エヴィング商會
- (芹沢文書)
「存在しない商品の説明書」「未来の古書目録」「架空の国旅行記」など、非実存品(主に印刷物類)の本を作りつづける、自称「三代目店主」。 どれもこれも良くできたもので、これらが実在したかのような...
クラフト・エヴィング商會装幀展
- (れん)
こーゆー展覧会の告知情報とかを見ると、関西は足らないなぁ、とシミジミ思いつつ、 なんとか上京できないものかと画策をしてしまう自分がいる。 年に2,3冊ペースでクラフト・エ...
作家の猫
- (駄目ねこ)
内田百間とノラ、夏目漱石と我が輩、中島らもととらちゃん・・などなど 作家と猫との いろいろ。 文机をはさんで見つめ会う三島由紀夫と猫の写真に羨ましいの溜息。 表紙はと...





蔵書票*
ねこ鍋
月刊「ねこ新聞」


