うみつばき・はやま
海椿葉山(和歌山・宿泊)
地元のタクシーの運ちゃんは「葉山荘」って呼んでた。
白浜に着いたのが昼過ぎ、というよりは夕暮れ前で、ちょうどやってきたバスに乗って三段壁へ行き、
西日のまぶしい崖の上からの風景を眺めてから、地下へもぐるエレベーターの券を買って降りる。
暗く冷たく湿った洞窟にどどうと響き渡る波の爆音、間近で弾ける巨大なうねりは、引き込まれそうで逃げたくなる。
地上へ戻ると曇った空の中、いよいよ日が傾き、夕焼けをどこで見ようか、と少し迷う。
バスに乗って白浜へ戻るときっと移動中に日が沈む。
それではいけないとタクシーを呼んで宿へ。
運ちゃんは「どっちから行きますか?」と距離はあるけど信号のない道と、距離は少し短いけど交通量のある道を挙げる。
信号のない道をと言うと、岬から入り江を繰り返す海に近い道でとても楽しい。
アップダウンも激しくて酔いそうだったが。
着いて呼び鈴を鳴らすと奥からお姉さんが出てきて早速部屋へ案内される。
玄関、部屋の入り口の脇、部屋の玄関と随所に花が生けてあって目が留まる。
白梅の枝に椿が2輪、とか。
襖を開け放して部屋に入るといきなり飛び込むのが正面に大きく海。
ただただ、海。
内装はシックで、海だけが明るい。部屋の中には花も床の間もなく。
(テレビがあるのは少し不思議。ないだろうと思っていた)
お茶を淹れる間に座椅子をこっそりバルコニーに出して、そこでくつろぐ。
隣を見ると、2つ向こうの部屋にも同じように涼んでいる浴衣姿の男性の足が見える。
夕日に間に合うように急いで温泉へ行き、温泉でも海を眺め、風にあたり、
部屋へ戻って海に面したバルコニーに出て涼む。
実家の近所の海も、西に開けてて犬の散歩で行くといつも夕日を眺めて帰った。
同じ海だけど瀬戸内海と外海は違うなあ。とか。
サイトの「静寂」にある海の写真が素晴らしくて、こんなの見たいからまた行きたい。
あいにく、その日の夕日は雲の中で消えてしまったし、
春の海はぼやぼや煙ってショーとしては今ひとつだったけど、それでも一日の終わりには変わりなく。
普段なら定時に向けてばたばたしてるし、休みの日でも東向きの部屋からは夕日は望めない。
この時間をゆっくりと過ごせることがとても嬉しい。
夜寝る前というのも一日の終わりだけど、日が落ちる時に、ただ夕日を見て
無事に終わった一日とか何かに感謝するのはとても自然だと思う。
朝起きて朝日や山におはようと思うのと同じで。
そういうことを思い出した宿でした。
翌朝は素晴らしく晴れて、真っ青な海にいくつも白い漁船が浮かんでて寝坊した気分に。
- 2010/03/18更新
- 2010/03/18登録
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