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クサマクラ

『草枕』


日本で一番有名な書き出しの小説では!

「山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」
「人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。」

「われわれは草鞋旅行をする間、朝から晩まで苦しい、苦しいと不平を鳴らしつづけているが、人に向って曾遊を説く時分には、不平らしい様子は少しも見せぬ。これは敢て自ら欺くの、人を偽るのという了見ではない。旅行をする間は常人の心持ちで、曾遊を語るときは既に詩人の態度にあるから、こんな矛盾が起る。して見ると四角な世界から常識と名のつく、一角を磨滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでもよかろう。」

「余は凡ての菓子のうちで尤も羊羹が好だ。別段食いたくはないが、あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。」

『気楽も、気楽でないも、世の中は気の持ちよう一つでどうでもなります。蚤の国が厭になったって、蚊の国へ引越しちゃ、何にもなりません。』

「朔北の廣野を染むる血潮の何万分の一かは、この青年の動脈から迸る時が来るかも知れない。しかしてその青年は、夢見る事より外に、何らの価値を、人生に認めざる一画工の隣りに坐っている。運命は卒然としてこの二人を一堂のうちに会したるのみにて、その他には何事をも語らぬ。」

「色々に考えた末、しまいに漸くこれだと気が付いた。多くある情緒のうちで、憐れという字のあるのを忘れていた。憐れは神の知らぬ情で、しかも神に尤も近き人間の情である。御那美さんの表情のうちにはこの憐れの念が少しもあらわれておらぬ。そこが物足らぬのである。あの女の顔に普段充満しているものは、人を馬鹿にする微笑と、勝とう、勝とうと焦る八の字のみである。」

「あの女を役者にしたら、立派な女形が出来る。普通の役者は、舞台へ出ると、よそ行きの芸をする。あの女は家のなかで、常住芝居をしている。しかも芝居をしているとは気がつかん。自然天然に芝居をしている。」

「野武士の顔はすぐ消えた。那美さんは茫然として、行く汽車を見送る。その茫然のうちには不思議にも今までかつて見た事のない「憐れ」が一面に浮いている。
『それだ! それだ! それが出れば画になりますよ』」



漱石の中では、あんまり好きじゃあない!
画工さんにも御那美さんにも感情移入しきれないし、
テーマが散漫な気がします。

って言ってもつまらなくないからすごい!

『草枕』

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*ao*

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