父性と、青年たちがくりひろげるセッション。そんな
タイムレスメロディ:市川実日子
少しまえのこと。女優の市川実日子を、東京・吉祥寺で見かけました。出会いがしらでしたが、オーラを放っている。ハッとするような雰囲気が、その周囲を異質の空間として切り取っています。長身の、猫の目を思わせるくっきりとしたアーモンド・アイが印象的な女性。西荻窪・吉祥寺界隈は映画・演劇関係の小さなスタジオが多く、ときたま素顔の役者さんを見かけます。
たしか雑誌「Olive」のモデル出身だったよな、と録画の映画で、その女優としての身体を確認したい。そこで見始めたのが、映画『タイムレスメロディ』(1999)。市川が孤独な少女役を。
場末といった風(ふう)のビリヤード場を舞台に、3人の若い男女が音楽セッションを組みます。市川はギターを。従業員なのに、まるでそこを下宿のように寝泊りするドラムを叩く青年(青柳拓次)が、市川とのデュオの練習をくりかえしては、テープに録音してゆきます。青柳が持ち込む調律していないピアノ。ピアノの調律に訪れた青年(近藤太郎)。やがて三人によるセッションが始る・・・。
母(余貴美子)との折り合いが悪い市川。まるで精神的な孤児のような、身の置き所が定まらず、淋しげな情感を漂わす市川の所作、感情の動きが、魅力的です。
この作品で実質・監督デビューの奥原浩志がここでこだわるのが、親(とくに父性)。この主題は監督の次作・『波』(拙KW)にも顕著です。市川と青柳に子供に対するようなさりげない愛情を注ぐ、正体不明のビリヤード客・木場勝己が、この主題の体現者です。名舞台役者で鳴らす木場の、流浪者のような淋しげなまなざしも、この作品にいい風情を加味しています。
ここでも、ビリヤード場に差す薄明のような光線が、物語の陰影として働いていて・・・。監督の光に対する偏愛が伝わってきます。
http://movie.goo.ne.jp/dvd/detail/...
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