キース・ジャレット - ザ・セレスチャル・ホーク
Keith Jarrett - The Celestial Hawk
キースが作曲したオーケストラ作品の中でも最大の規模と内容を持つものの一つ。
ドイツ・グラモフォンの委嘱によりボストン・シンフォニーのために1977年に作曲されたが、このCDはグラモフォンではなくECMから発売されている。
どういうことかという疑問は当然起こるだろう。簡単に説明すると、グラモフォンと当時のボストン・シンフォニー、そして当時その指揮者であった小澤征爾ができあがってきた作品に興味を持てなくて、結局グラモフォン・サイドはレコーディングどころか演奏することそのものを拒んだためである。この曲のためにリハーサルをやるとまで言っておきながら、キースをすっぽかすことまでグラモフォンと小澤征爾はやってのけた。
確かに音楽史的に見てエポック・メイキングな作品とは言えないが、そんなにけなされるほど内容が乏しいわけではない。ただ一言いうとすれば「ラプソディー・イン・ブルー」みたいじゃないということ。(だからどうだっていうのだろう?...ムカつくので以下略。)
冷静にこの作品を聴いてみよう。
まず、この作品の性格を決定づけている二つの要素がある。その一つは後期ロマン派的な大規模編成によるオーケストレーションにあり、もう一方はアジア的な音楽素材の使用、具体的にはインドネシアのガムランにみられるような動機の使用にある。これら二つの特徴は互いに組み合わされることでマッチングの意外性という以上に独特の表現を導きだすことに貢献している。
また、キースの作品に時折見られるモード的表現を本格的に展開した作品としても興味深い。管・弦楽器をしようすることで、ピアノでは表現することのできないデリケートなモード表現を取り出すことができる。ある意味、これまでにキースが表現しようとしてきたものに一歩近付いた音楽になっているはずである。
このモードによる流麗な動機とガムラン的動機のパカッシヴな動機が効果的な対比を生み、音楽全体を推進する原動力となっている。ピアノはその両方の要素を自由にひろいあつめ、時折オーケストラの全面に立って音楽の方向づけを行ったり、そこで表現されている音楽を強調したりする役目を果たしている。
全体としては、キースの他の作品が持つリリシズムがオーケストラによってより鮮明に描き出されることで、他の作品以上にキースの音楽が含んでいるさまざまな要素を際出せ、エキゾシズムとヨーロッパ的洗練が同居する興味深い作品であることを証明している。
- 2001/12/10登録
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