ヘドウィグ&アングリーインチ
Hedwig & The Angryinch
もう、絶賛です。
あのですね、ロック映画(?)に有りがちな、所謂リップシンクではなく、主人公(監督)が作詞作曲して歌ってるのです。魂こもってます!
実在するバンドだったら、是非ともライブに行ってみたいです。
「Hedwig And The Angry Inch」。
ヘドウィグ(主人公の性転換後の名前であり、かつらを象徴)と怒った1インチという意味は…。
女になりたくてかつらをかぶった男は、性転換手術を受けるのですが、6インチ中1インチが残ってしまった。
ヘドウィグが女へとなる道は、そう容易くはなかったのです。
1960年代、ロックミュージックの動物的なギターサウンドや、ウッドストックの会場が「自然が我らを自由にする」と説いたのなら、70年代のグラムロックは人工的で派手な装飾を通して、自然を回避し‘自由’を求めました。
人工的で誇張されたグラムロックの修辞法は、60年代のLSDに代わる一種の幻覚剤であったのです。
この映画はPlatoの'Symposium'に出てくるAristopanes「l'Androgyne(両性説話)」の二つに分かれた人間が'もう一人'を探すことで孤独を慰めると言う、愛の起源に対する仮説から始まります。
ヘドウィグは失われた「もう一人の自分」を探し始めますが、'もう一人'を探し出す事はそう容易くは無く、愛の渇きをステージの上で発散します。
Platoの'Symposium'に表れた男性同士の純粋な愛、聖書に書かれたアダムとイブの誕生等、古典を所々少しづつ言及しながら男女の性の差、それに連なった役割分担を当然視する常識的価値観を転覆するのです。
彼(彼女)は、人工的なグラムロックの幻覚を通じ、現実から逃避することで自由を得ながら、彼女の人生の悲劇を克服しているのでしょうか。
ベルリンの壁に関する政治的ジョークを投げかけ、Platoの'Symposium'に関連した愛について、少しづつ接近して行きます。
ヘドウィグがステージで、何も知らない人達に向かって繰り広げる、誇張された過激なジェスチャーは'もう一人'を渇求する悲しみの言葉であります。
トランスジェンダーの喜怒哀楽を忠実に描いていると思いました。
耽美的でキッチュであり、始終一貫力強さを失わない秀作です!
- 【監督】ジョン・キャメロン・ミッチェル
- 【出演】ジョン・キャメロン・ミッチェル、スティーブン・トラスク、マイケル・ピットほか
- 【配給】ギャガ・コミュニケーションズ
- 2005/04/09更新
- 2002/12/08登録
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コメント (3)
2003/01/24
toraji 疑問1、ヘドウィグと結婚しているバンダナのベースの人は、女の人だったのか?それとも女になりたい男だったのか?
質問2、監督もトランスセクシュアルなのか?
2003/01/28
Lucy 「ヘドウィグと結婚しているバンダナのベースの人」はイツハクという役名だったと思いますが、イツハクは自分の中にある女性性を実現させたいという秘かな願望を持っていた(けど長い間それを抑圧していた)"女性になりたい男性" だったのだと私は解釈しましたが、TokyoRose さんはどう考えられましたか(ただ、このイツハクを演じていたのが、ミリアム・ショアという女性だったため、確かに混乱しますね)。あと、監督のジョン・キャメロン・ミッチェルはインタビュー記事(この映画のパンフレットに掲載されていた)のなかで自分はゲイであると述べています。
toraji お答えありがとうございます。まさか返答が来るとは…。監督「ゲイ」でしたか。イツハクについてですが、土さ周り中のモーテルで、ヘドウィグと一緒のベッドで寝ているとき、ヘドウィグがイツハクのお尻に向かって腰を振っていた(失礼)場面を考えてみると、イツハクはもともと女性ではなかったのかと。何らかの理由から男として生きてきたのでは無いかな?と思っていました。
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