ゆきゆきて、神軍
1987年、原一男監督。
強烈、痛烈、激烈、おもしろくてやがてかなしき、やっぱりおかしい。バブルに突入していく日本において、執拗に戦時中の戦争責任を追いつめてゆく、世界ドキュメンタリー史上においても最もエキセントリックなキャラクターであろう、この主人公を配し、いまなおその刃を錆び付かせることのない怪作。
恐ろしいのは、戦争犯罪者でもあり被害者でもあろう、田舎のじいさんも、それをぶん殴るこの男も、じつは、戦争が生んだ歪みであって、まったくふつうの、今もそのへんを歩いている、または会社の上司と、なんの変わりもないにんげんに違いないのだ、と思い当たるとき。
作品中で、無惨に戦地で死んだ息子を思い、ご詠歌のように朴訥と歌われる、おばあちゃんの「岸壁の母」。これほど、すべての雑音を無音にしつつ、胸をぶちぬく歌を、ぼくは聞いたことがないかもしれない。
- 2010/06/03更新
- 2010/06/03登録
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