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キョウコウ ロン

恐慌論 (岩波文庫)

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少し前のことになるが、書店の文庫コーナーを眺めている時、思わず足を止めた。

そして本書を手に取り、ページの中身に眼を通す。

間違いない。やはり、宇野孝蔵の『恐慌論』だ。


ワタシが学生の頃、数十回と読み返した本が文庫化されたのだった。


本書は、“宇野理論”、もしくは“宇野経済学”と称された著者の理論体系の根幹を成す名著である。

ちなみに、著者が本書を初めて世に問うたのは、「昭和二十八年七月二十八日」となっている。

--------------------
序論
第1章 好況
第2章 恐慌
第3章 不況
第4章 景気循環の回転期間
第5章 資本主義社会における恐慌の必然性
附録
--------------------

社会科学の現状分析においては、自然科学のように分析対象を純化して実験することができない。
そこで、歴史上において繰り返し発現した具体的な経済現象を“純粋な資本主義社会”を想定して抽象化し、その発現の必然性を論証するという手法をとる。

(当時、社会主義経済の実現をゴールに据えた)マルクス経済学が現代社会の経済分析にどれだけ有効なのかはさておき、著者がマルクスの理論体系を継承しつつも独自の“三段階論”として提唱した経済学(社会科学)の方法論や研究者として持つべき思想などの多くは現在においても生きているとワタシは考える。

この点については、巻末の解説の中で伊藤誠氏が次のように述べている。

「本書はその展開において、いまなおその意義の理解の深化、のびやかな適用可能性をさまざまな側面で広く読者に誘いかける魅力に富んでいる。それも古典的名著と共有する本書の味わいと言えるであろう」

…と。

現在の大学や大学院の経済学講義で、本書が取り上げられることがあるのだろうか?
ワタシが学究徒だった頃の思い出ともに、本書が“古典”の域に入ったのだろうかと感慨に耽る。


余談ではあるが、佐藤優氏は「わが獄中読書記・愛読30冊リスト」(佐藤優『国家と神とマルクス』)の筆頭に、宇野『恐慌論』をあげている。


恐慌論 (岩波文庫)

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  • 著者: 宇野 弘蔵
  • 出版社: 岩波書店
  • 発売日: 2010-02-17
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  • 2010/11/20更新
  • 2010/11/20登録
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