雪室
かまくら
正月が近づいて来る頃。
秋田県・横手地方に行くと、近所の子供たちが集まって『かまくら』を創っている。
ちょうど人数分が入れるほどの小さな雪室だが、それでも子供たちの背格好からすれば、結構巨大な建造物になるのだろう。
見ていると『かまくら』にも二つの型式があるようで、一つは大人たちが屋根から下ろした雪塊を利用して小山に盛り固め、それを刳り抜いて洞穴を作るタイプ。
もう一つは、スコップで雪をブロック状に掬い取ってから煉瓦状に整形し、それを丁寧に積み上げてゆくタイプ。
後者のものは本格的で、大人でも優に五六人は入れるほど大きく、それだけ精密にして頑丈でもあるのだが、強度を増すために水をかけて雪煉瓦を半透明に凍らせたり、ドーム型の天井を崩れぬように積み上げたりするテクニックを必要とするので、もっぱら大人たちが中心となって作業が行われていた。
ボクが定宿にしている民宿でも冬になると、宿泊客にその雰囲気を味わって貰おうと中庭に大きな雪室を造るのだが、夜になって鄙びた民宿の中庭に創られた『かまくら』に茣蓙を敷き、七輪や火鉢を持ち込んで塩魚汁(ショッツル)鍋を肴に酒を呑めば、外の雪景色と相まって何とも言えない贅沢な気分になる。
初めは親の背中に隠れていた子供たちも、慣れてくるとボクらと一緒に餅を焼き、小豆を煮る鍋をかき混ぜながら、餅がぷっくりと膨らむ様を楽しそうに眺めるのだ。
日本の冬の小さな原風景。
ボクはこの季節になると、時折発作的に旅に出たくなる。
写真は『かまくら』の中の『雪だるま』
- 2002/12/17更新
- 2002/12/16登録
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