レンホウ
蓮舫「一番じゃなきゃダメですか?」
あ〜あ、こんな本出しちゃって、調子こいてるなあ。
とか言われるでしょうね(ぼくもちょっと思ったw)。挑発的なタイトル。
事業仕分けを一躍メジャーにした「一番じゃなきゃダメですか?」発言(正確には、「世界一じゃないとダメなんですか?2位じゃダメですか?」)。
ニュースでこの発言部分しか見ていないので、果たして、蓮舫がどのような真意でそう言ったのか、またその場に適切な発言だったのかはよくわかりません。でも、ぼくがこの言葉を聞いてまず感じたのは、「ああ、わかる」という共感でした。これは、おそらく世代によって受け止め方が異なると思います。右肩上がりの経済成長を続ける日本を肌で感じた戦後世代と、バブル崩壊後の現実を多く見て来た世代。
自民党の石破茂氏は「みんなで努力して、もう一度、世界で一番働く日本にしましょう!」と街頭演説で訴えているそうです。ぼくはこの考え方には共感できません。石破氏に限らず、自民党の方々は、経済は永遠に成長し続けると思っているみたいですが、ぼくはそのような神話を信じません。そのような神話を体感してきた世代でもありませんので「よみがえれ」とか「立ち上がれ」とかも思えません。
欧米列強に追いつけ追い越せ、と仕事ひとすじでがんばってきた父の世代を否定する気はありません。そのおかげで現在の日本があることも事実です。そのことには感謝しつつも、いつまでも同じやり方を繰り返すのには限界が来ているのもまた事実だと思います。経済的な豊かさが、必ずしも幸せと一致しないことを肌で感じる人が多くなっている。仕事と家庭、どっちが大事なの?なんて愚問ですが、家庭に重きを置く生き方を選ぶ人が多くなっている。ような気がします。蓮舫の発言は、そのような価値観の転換が起きていることを象徴する言葉だったと思うんです。
・・・と、ここまで書いたのは、あの発言からぼくが勝手に汲み取っていた思いであり、実際に蓮舫はどのような意味で「一番じゃなきゃダメですか?」と言ったのか。その真意が本書にてわかるかなと思い、読んでみました(6月18日まで、PHPのサイトにてなんと全文無料公開なのです)。
本書より
--------------------------------------------
メディアの世論のリードの仕方だけではなく、どういうふうに政治が行われているのか、行政はどういうふうに仕事をしているのかを全部見せてしまう情報公開って大事
--------------------------------------------
事業仕分けがもたらした功績は、事業の仕分けによる予算調整そのものよりも、とにかく「政治の可視化」を実行した点にあると思います。内田裕也が一般傍聴席に現れ、「ロックンロールミュージシャンがもっと政治に関心を持たなきゃ、次の世代に伝わらない」というメッセージを残したことは、まさに「知ること」の重要性を表しています。
仕分けの第2弾は、行政刷新会議による「官製公式中継」をやめ、民間のネット配信企業による公式中継をが行われました。その結果、大手メディアによるテレビ映像が、いかに恣意的な編集、捏造が常態的に行われているかを多くの人が知ってしまったのです。マスメディアがエスタブリッシュメントに牛耳られている以上、インターネットが無ければこのような可視化は出来なかったでしょう。また、行政刷新会議の公式ページからニコニコ動画やUSTREAMといった民間サイトへ直接リンクが貼られるという、フレキシビリティも今まではあり得なかったことです。ネットの政治利用は、どんどんやって欲しいと思います。
本書より
--------------------------------------------
ちょっと有名になりましたが、「私の話も聞いてください」という女性の方もいらっしゃいました。独立行政法人国立性教育会館の理事長さんですが、あの方の話は、事前に十分聞いていたんです。いかに男女共同参画が大事で、女性の指導者がこの国で頑張ってきたか。その話を、私たちも否定はしていない。
ただ、どうして東京ドーム2個分もある敷地で、交通の便が悪い、最寄りの駅から歩いて30分というところに・・・(中略)日本全国に男女共同参画センターはもう300ケ所以上あります。(中略)それぞれの持っているアーカイブ機能の情報を共有したほうが、よほど費用対効果の高い、男女共同参画になるんじゃないですか?
こういう話し合いをさせていただきたかったのですが、ここも食い違ったまま、残念ながら前には進まなかった。
--------------------------------------------
「私の話も聞いてください」という人は、だいたい人の話を聞きません。仕分けの映像に映る蓮舫の姿が痛快だったのは、単に口調が強いとかテレビ映えがするとかいう以前に、本質的なところの疑問点をちゃんと指摘してくれたからです。みんな、うすうすわかってはいたと思いますが、独立行政法人とか公益法人だとかの天下りの実態が、こうして白日の下に曝け出されたという点は、大きな転換点だと思います。
本書より
--------------------------------------------
みなさん方に必ず見せる。税金がどういうふうに使われているのかをお伝えするように、お金の使い方を決めていきたい。そのための、事業仕分けでもあるんです。
--------------------------------------------
考えてみれば、こんなの当たり前のことなんですが、今まではそうじゃなかった。
有権者は、ぜーーーんぶ、政治家に丸投げ(政治家は官僚に丸投げ)して、たまにマスコミから流れる政治問題に沿って、詳しく知ることもなく(知るための手段も、知ろうという発想さえもなかったかもしれません)ただ文句を言っていればよかった。確かにそれで、それなりに回っていた時代もありました。しかし、おかみが何とかしてくれる時代は終わりました。長い間の官主導が、官依存になり、密室で既得権益を守ろうとする体質になってしまったことは、先ほども述べた通り、天下りという実態に現れています。ちなみに埋蔵金というのが基金のことを指していると、ぼくは本書ではじめて知りました。知らないでいることがたくさんあります。このように、政権交代で情報公開の窓は開きました。(民主党がどこまで「見せて」くれるかは、まだ進行中であり、ぼくはまだ良い悪いの判断はできません。)次は、有権者がこの窓から、ガンガン覗いて入って行く番です。
少子化対策にしても、社会保障制度の問題にしても、もはや「おかみが何とかしてくれるもの」ではありません。居酒屋で渋い表情をして、いったいどうするんだ、なんて訳知り顔でうんちくを語るだけでは、何にもならない。だって、誰かが「正解」を差し出してくれるものではないんです。シロートでいいんです。シロートが、じぶんの生活のために、であるからこそ、じぶんの頭で考えることにこそ意味がある。
本書より
--------------------------------------------
育てられた家庭環境がそうさせるのかもしれません。母と父の影響です。父から、自分の意見を持つように教えてもらったのがすべての出発点で、意見を持つということは、それに対して自分も責任を持つことである、と。
誰かとぶつかった方が、衝突を回避するより学ぶことが多い。相手がより正しければ、自分の意見を引っ込めればいいだけのことなんです。
--------------------------------------------
以前、高橋源一郎氏が「政治的アクション・政治的言論」に関して原則とすべきと考えていることをツイートしていました(→こちらにまとめています)。この原則は、ぼくもたいへん納得できるし、そのようにありたいと思っています。蓮舫という人は、この原則が自然に身に付いているようです。特に「相手がより正しければ、自分の意見を引っ込めればいいだけのこと」ってすごいと思います。日本人は、これがなかなか出来ないんですよね。自分が正しいと思いたいし、正しく無いと言われるようなリスクを冒さない。世間が「正しい」と思っているような風に乗っかって(空気を読んで)うろうろする。世間が「正しい」と安心する。その世間って何なんだというと、実体の無い虚像だったりするんですけど。
さて、本書を読み終えて、蓮舫という人の政治に対するスタンスが伝わった気がします。蓮舫さんは、政治家である前に、双子の母であり、実体験から「じぶん」の頭から出て来る言葉を使う人である(彼女が政治家を目指したのは、台湾での無血革命=2000年の政権交代をジャーナリストとして取材し、「国民は政治を変えることができる」という実体験を持ったからだそうです)。ぼくは本書を読んで、そう思いました。子育てをちゃんとしてきた人の言葉と、そうでない人の言葉が、ぼくは自分も子育てをするようになって、わかるようになった気がします。子ども手当が、親の酒代やパチンコ代に消えてしまう、なんてことを言う人はバカじゃないかとぼくは思います。蓮舫さんは、自らが子育てをすることで感じてきた、子どもを生んだり育てたりする上での、この国の問題点を持ち込もうとしている。実体験に基づいているから、共感することができるんだと思います。
政治が、子どもの未来をつくるものであるならば、有権者である「ぼく」もまた、じぶんの言葉で、咀嚼していきたいと改めて思ったのでした。それは、世界中の「子どもたち」のためではなく、目の前の息子のためだけに。きわめて利己的かもしれませんが、ぼくはそれでいいと思っています。そこから始めないと、始まらないと思っています。
- 商品名: 一番じゃなきゃダメですか?
- 価格: ¥945
- 著者: 蓮舫
- 出版社: PHP研究所
- 発売日: 2010-06-17
-
詳細をみる
- 2010/06/17更新
- 2010/06/17登録
- 2300クリック
「蓮舫「一番じゃなきゃダメですか?」」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
コメント (13)
最新コメント5件
2010/12/06
こえり いやいや長いのはわたしもそうなので(笑)「にほんごであそぼ」は、こどもは、ほんとに楽しめるだろうなぁと思います。オトナにもとっても(「ああ あんなこと やってる!」「こんなひと起用してるよ、すげえ!」ということにも感心するけど、こども は もっと単純に「おもしろいよ!」って思えると思う)
わたしも 「とりあえず 人気のあるタレント を出しときゃ いいだろう」的な番組には、そんなに興味はないです。えびぞー ねー。どうでもいい!あの人の性格からして なんかやらしそうなのは、わかるだろう!「なぜ」 とか、わざわざ 神妙な顔して言わなくたって。
民放でもnhkでも まだbs放送のほうが「視聴率取らなきゃ..」ということに縛られないので、「自由度」は高い気がします。 自分の経験、人から聞いた話、本、テレビ、それは あくまで「その人の視点」「その人の主観」から 発しているもの、ということ を自覚すること。でも そういう「視点」を(そのひとは なんのために 「それ」を言っているのだろう、「なに」をしたくて「それ」を言っているのだろう)ということばかり 気にかけなきゃ いけないと つかれきっちゃうんですよね。。)
だから、もう少し、何も考えなくても「ああ この 「発信源」 は信頼していいんだな」という基点で 関わっていけるものを欲するんだと、思います。
山ちゃま うん、けっきょくは「知る」って「信じる」だと思います。そういう点で、ツイッターはラクですよ。(ツイッターは簡易ブログのような発信メディアではなく、インプットメディアという点におもしろさがあります。)自分が信頼できると思うヒトをフォローすれば、リアルタイムでその人の発言が、2次情報を介さずに流れてくるんですから。「2次情報を介さずに」という点が重要で、これでぼくは報道がいかに歪められているかを知りました(自分の腑に落ちるほうを信じました)。
こえり 「知る」と「信じる」は、イコールかあ。子供とかは、そうですよね。「知ったこと」イコール「信じること」。だから 怖いんだけど!
ツイッターは 今はいいや。関空にしろ、各ポータルサイトのブログにしろ、わたしはものすごく慎重です。
しばらく眺めてからじゃないと、参加しなかったり(コメント入れなかったりしましたし)
それでいいと思ってるけど。
山ちゃま うん、マイペースでいいんじゃないでしょーか。webとの付き合い方はてきとーで。負担になったらつかれちゃいますからね。たのしくが基本っす( ´ ▽ ` )ノ
こえり >たのしくが基本っす( ´ ▽ ` )ノ そうっす♪
- すべてのコメント »
つながりキーワード (1)
蓮舫
- (テージ)
1967年11月28日、東京都生まれ。 青山学院法学部卒。 台湾人の貿易商の父、謝哲信と日本人の母との間に生まれる。 85年に台湾籍から帰化するまで謝蓮舫という名前で、今でも謝姓に愛着と誇り...





「天切り松 闇がたり...
どうしてボクには仕事...


