ナスカのミイラたち
ペルーのナスカは、有名な地上絵のあるところだ。デモ実際にいくと、うーんどうなのかな、地上絵は地面の上からだとあまりわからないし、小型機に乗って空から見ることもできるんだけれど、飛行機から見ると「写真で見たのと同じだぁ」という以上の感慨がイマイチないのである。
でも、ナスカにはあまり有名じゃないけれど、もう一つ見せ物がある。それがミイラたちだ。ナスカの近郊の河原は、インカ時代のお墓地帯で、いっぱいミイラが埋まっていたのだ。ところがそれが片っ端から盗掘にあっている。
そしてエジプトでは、ミイラも価値があったのでミイラこと運び去られたけれど、南米では、ミイラは価値がなかった。だから副葬品だけとられて、ミイラはそのまま河原に投げ捨てられている。
だからそこに行くと、あたり一面に死体が散らばっているという異様な光景になる。死屍累々。
人間、なんにでも慣れるもので、最初はギョッとしたものの、その間を10分も歩いていると、もう完全に平気になってしまう。ミイラだから、ひからびて、においもしない。もう完全なモノ。それもいっぱいあるし。すぐに、ミイラにポーズをとらせようとしたりするバカが一行の中からでてくるし、ぼくもそこまでは行かなかったものの、目の前にひからびた足がころがっているのを見て「これはみやげにいいかも」と一瞬思ってしまって我ながら呆れた。でも、ここにきてなんだか死者の尊厳とかいったお題目に説得力を感じなくなったのも事実。死ぬと、こうやってなんのアレもないモノになるんだなあ、という感じ。もっとも、それはもとからぼくが冷たいだけなのかもしれないけれど。
雨も降らない地域だし、当分このままなんだって。
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2002/12/20
山形浩生 うーむ。われわれの頃はまだ「開け! ポンキッキ」だった……それとは関係なく、ノミって生き血でないとダメなのか。知らなかった。いやそれとも血は有効なのに、二酸化炭素に引かれる性質のせいで離れてっただけなのかな。
信生(ほい!) 「死者の尊厳」と「死体の尊厳」はまた別物なのかな。私は『死者』をないがしろにするつもりはないけど、たとえば空襲なり原爆なりくらったら、逃げるときに『死体』を踏まないようになんて考えないと思うんです。
2002/12/21
闇奉行 エジプトの猫のミイラは掘り出され砕かれ肥料にされた、というのを読んだのは星野之宣の短編だったかな?
2002/12/22
山形浩生 いっぱいあるからいいや、と思ったんでしょう。一つの墓に100匹くらい入れるんじゃなかったでしたっけ? 最近の報道で、万里の長城の煉瓦をもってっちゃう中国農民みたいなものでしょう。でも、エジプトでもミイラに価値が出たのはヨーロッパ人が発掘を初めてからしばらく後で、インテリアとしてミイラが珍重されはじめて以降のことで、ツタンカーメン王の発掘でも、お棺を取り出すのにミイラがくっついてじゃまだったからぶった切る、なんてことを平気でやってます。
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