ザ・ヘラコプタ-ズ / ハイ・ヴィジビリティ
The Hellacopters / High Visibility
羽根の生えたメンバーが写ったジャケットが暗示する、飛躍の時。ヘラコプタ-ズがメジャーのユニヴァーサルに移籍した第一弾アルバム(通算4作目)がこの『ハイ・ヴィジビリティ』だ。インディ活動が抱えるときにやっかいなことは「俺達の好きにできるからいいじゃないか!」と思って(それはそれでいい場合は当然多いのだが)、逆にそのことが足枷になり凝り固まってしまうことだろう。本来メジャー・フィールドは様々な実験を試せる場であり、多くのリスナーを獲得できるチャンスの場であるはずなのだ。そのどちらもきちんと勝ち取ったヘラコプタ-ズは、インディに対する変なこだわりなど微塵もなかったのだろう。好き勝手なロックンロール炸裂で、皆を衝撃に巻き込みまくっている。
元々ヘラコプタ-ズはニッケ・ロイヤル (vo&g)を中心とした彼のサイド・プロジェクトであったことは北欧音楽のファンならご存知のことだろう。ラモ-ンズに影響を受けたことを正直にするため、全員が性をヘラコプタ-とし、自分達が気持ちのいい音楽を、気の合う友人達と単に掻き鳴らした、これが本来の彼らの姿だった。それが、気が付けばオーディエンスはヘラコプタ-ズに対して賛辞とリスペクトを示し、自身もその心地よさに身を完全に埋めてしまっていたというのはかなり面白い。既成概念などそもそもなかったし、明確な理由など特に必要としなかった彼らが、「ヘラコプタ-ズはサイドプロジェクトだから!」なんて野暮なコメントを当然するはずもなく、「じゃあ爽快なサウンドをさらに鳴らしてやろう」と目論んだのはいわずもがななのだ。
そして、『ハイ・ヴィジビリティ』はラモ-ンズ、キッス、セックス・ピストルズ、レッド・ツェッペリンに影響を受けながらも懐古主義ではない新たなロックの息吹きを感じさせる名盤に仕上がっている。メジャーだからといって特に姿勢を変えるわけでもなく、予算をかけられることによるサウンドプロダクトの向上が、ヴァイヴの効いたクリアなサウンドを創り上げ、抜けきった心地よさを与えてくれているのだ。全ての曲をライティングしている、ニッケの音の快楽に対する嗅覚は半端でなくすさまじく、Aメロ、Bメロ、サビなんていう流れの心地よさと、それを時に裏切る変調の具合を絶妙なブレンドに閉じ込めている。ロックマニアは「あ、これ!これこれがロックなんだよ!」の韻を踏まれていながら、「なんじゃこりゃ!、これはすげえ!」と思わず唸ってしまうサウンドがヘラコプタ-ズサウンドに他ならないのだ。それを特に何も考えず実現させているニッケはかなり恐ろしいし、天才的だと思う。
僕はこのバンドの気持ちいいことだけ増殖してやりたい!という姿勢が大好きだ。最大限の尊敬が、スゥエーデンまで届いてくれることを文章に込めながら、僕も自身の活動に驀進していこうと決意を新たに思った。
- 価格: 2427円
- メーカー: ユニヴァーサル・インターナショナル
- 年(代): 2000年
- 団体名: ザ・ヘラコプタ-ズ
- 2002/12/22更新
- 2002/12/22登録
- 1130クリック
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