オヨツギ
御世継
医者も政治家も企業家も、心ある者なら子供に後を継がせるような真似はしない。
地盤と票と事業を後継者に譲るには、その人物にそれなりの才覚と人望と能力が求められるからである。
本田宗一郎がそうであったように、時にはそれが本当の優しさなのだと知るべきだが、今の時代は何故か出来の悪い子供ばかりが跳梁跋扈するようになった。
子供に後を継がせて良いのは伝統文化の世界と職人だけで、能や狂言や歌舞伎や刀鍛冶や宮大工だけで十分に事は足りるのだ。
莫迦でも後を継げたのは封建時代の殿様くらいで、それは有能なブレインが二重三重に囲んで、一所懸命に忠義に励んだから成立したのである。
二代目・三代目に共通するのは救い難い依存体質で、それは親から譲り受けた市場や人脈や資金を土台にしなければ何もできないことを自覚した、一種の強迫観念に怯えている弱者の強がりと表裏一体である。
自信過剰の裏には強烈なコンプレックスを抱いており
余裕綽々の足元には疑心暗鬼の臆病さが滲み出る。
周囲に煽て上げる人がいなければ何も出来ず
絶対君主に憧れているが一切の責任は取らない。
・・・・・
もし山本夏彦が生きていたら、同じ事を言うだろう。
・・・・・
故に
田中真紀子も鳩山由紀夫も小泉純一郎も
ブッシュも金正日もその本質は同じである。
ブレインがいなければ何も出来ない癖に
カメラとマイクの前では英雄を気取って
ただそれだけで己の務めが済むと思っている。
国民が困窮に喘ごうと
若者が無為に死んで行こうと
赤児が餓死しようが
大の大人が自殺を企てようが
何処かの国のボンボン達は薄ら笑いを浮かべ
今日も俺はたじろぐことがないと胸を張るのだ。
・・・・・
もし山本七平が生きていたら、同じ事を言うだろう。
・・・・・
彼らの大いなる時代錯誤を許しているのは誰かと・・
哀れなのは彼らではなく、彼らの傍若無人を赦す我々なのではないのかと・・
○
世間知らずの殿様が刃傷に及んだ時
大石内蔵助良雄は家来を集めて意志を問うた。
封建時代の世に彼は「民主主義」を持ち込んだ。
上意への絶対服従しか能のない武士達に
今まで問われたことのない己の意志を問うた。
唯々諾々なる無能な官吏に成り下がっていた者は去り
一握の下級武士と死場所を求める老人だけが残った。
大石親子を除く四十五名は、少なくとも己の意志を持っていた。
江戸期に於ける「ブレイン」としては画期的な戦略を持っていた大石は、敢えて上意下達の指示系統を逆転させ、部下である「民意」の真の集約を図ったことになる。
其処にこそ事業成功の鍵が在ることを、おそらく彼は識っていたに違いない。
○
それでは今
小泉純一郎に真のブレインはいるのか。
変人を気取って斜に構えているだけの経済音痴に、最後まで忠義を尽くす人物は誰と誰なのか。
金正日はどうなのか。
ポルポトとスターリンとヒトラーを合せたような狂信的小児病患者を救うのは、『太陽政策』を標榜する隣人だけなのか。
パウエルとラムズフェルドは、テキサスのボンボンの暴走を食い止めることができるのか。或いは嗾けているだけなのか。
そしてそれ以前に
我々世界の民達は、彼らの独善的なヒロイズムに釘を刺せるのだろうか。
黙って追随するだけで、民としての責任が果たせると考えているのだろうか。
・・・・・
もし司馬遼太郎が生きていたら、彼は今のこの時代を何と評するだろうか・・。
・・・・・
君たちは安穏として今日を生きる。
考えたくもないことが多過ぎるから、今日を昨日にしてゆく。
醒めていることが知性であり、黙々と仕事に励むことが明日に繋がると信じている。
だが、君たちはそれで良いかも知れないが、君たちの子供はどうなのか。
北朝鮮の飢えた子供たちはどうなのか。
罪を擦り付けられたイラクの国民はどうなのか。
思考放棄は容易だが、それで本当に良いのだろうか。
関連サイトは極めて平和的且つ美味なる『ボンボン』
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コメント (4)
2003/01/07
雲衣。 僕は本を読み芸術に遊ぶことを「ある種の亡命」だと思っています。現し身は此処に置きながらの眞剣な遊び。さて 何処で遊んでいるのやら(笑)。
2003/01/12
涙腺子 いつも横並びで自分の意見を語らず、長いものに巻かれて時に被害者を装う・・。何処の国の人とは申しませんが、沈黙が常に金とは限らないんですがね(苦笑)。
2003/02/26
涙腺子 ボクもそうは思いたくないのですが(彼らが選らばれた民でなければよいのですが)、現状は余りに利権確保・党利党略に埋没している(ように見える)政治家・官僚・財界人が多いのも確かではないかと・・。古今東西、国を滅ぼすのはいつの世も、サイレント・マジョリティ(国民的多数)によって選ばれたことを錦の御旗に掲げた政治家と、数々の難関を突破して出世を遂げた「優秀な」官僚達と、それらを利用して利権をむさぼる一部の政商(銀行など)であったことを、私たちは忘れてはならないと思うのです。たとえ国民的選択=承認を受けたとしても、その人物・政党・企業が未来永劫変質しないとは限らない。欧米民主主義の思想的基盤と日本との違いは、たとえ自分たちが選んだ「代表者」であっても、彼らは常に厳しい眼で「代表者」をチェックし、時には大規模な国民運動で間違いを正そうとする(国民的自己批判を躊躇しない)、能動的な意思を厳然と持ち続けている点に在ることでしょう。
表立った争いを嫌う日本人が、自分たちが選んでしまった三権(立法・司法・行政)の責任者と業界に対して甘すぎる評価(暗黙の承認)を下すのは、裏を返せば自分たちの判断(投票・認知)が間違っていたことを認めたくないと言う、一種の自己憐憫=同族意識が根底に流れている所為もあるように思えて仕方ありません。
2003/02/27
涙腺子 ご意見にはまったく賛成です。独裁国家は実に判りやすい報道管制を敷きますので、良識ある民はたとえイラクでも北朝鮮でも、何が真実かを正確に嗅ぎ取ってしまうものです。対して我が国のような「自由な民主主義国家」では、極めて巧妙に報道材料の取捨選択(国民の判断材料の制限)が行われていて、報道の自由を楯に「報道しない権利」をも濫用している予定調和体質が見てとれますね。日本の新聞・放送業界が流すニュースがどれもこれも横並びで、本来あるべき「主体性」が欠如している事実を見ても、私達国民を誰が何処で「判断操作」しているのかを、冷静に見極める必要があるでしょう。
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その時がきた
- (涙腺子)
山本夏彦はこう書いた。 「昔ローマの貴族はライオンと奴隷を戦わせ、それを女と寝ながら見物したという。いま我々はテレビを前に居ながら同じ楽しみを楽しむのである」 「ギリ...







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