キース・ジャレット - インヴォケイションズ/ザ・モス・アンド・ザ・フレイム
Keith Jarrett - INVOCATIONS / THE MOTH AND THE FLAME
それぞれ別々にレコーディングされた音楽をセットとして発売したアルバム。しかし単なるコンピものではなく、キースが明確に意図してカップリングしたものである。
「THE MOTH AND THE FLAME」は1979年にドイツの録音され<Staircase>の時のように幾つかの小品にわかれている。特徴的なオスティナート、フラグメントの執拗な展開、アブストラクトな表現といったようにジャズ的要素はほとんど見られず、どちらかというとシリアスな現代音楽で、<ケルン~>から<サンベア・コンサート>へ至る頃のソロを総括するようなスタイルを持つ。ピアノのコンディションもよく、ベストなコンディションで行われたソロ・コンサートのような趣である。
一方「INVOCATIONS」は<ヒムズ・スフィアーズ>をレコーディングしたオルガンとキースの演奏するソプラノ・サックスによる音楽である。ジャズとは完全に一線を画している。タイトルがあらわすとおり、ここでのキースの演奏は強い集中力を持ったシリアスな表現を聴かせ、時折もうほとんど祈りそのもののような音楽である。
これら二つをあわせて発表するキースの意図は(はっきりとは示されていないが)1980年代の幕開きを迎え、これからクラシックへチャレンジしはじめる直前ということもあり、これを一つの決意表明として発表したと考えてよいのではないかと思う。ブックレットに収録されている詩の内容も、そのような意味合いを暗示しているように感じられてならない。
クラシック業界へのチャレンジがキースに大きなダメージを残したことを知っている今、この作品を聴くと一種の悲壮感を感じてしまうのは感傷だろうか。
- 2001/12/12登録
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