イチゲンヤ・キンツバ
一元屋のきんつば
だが、人間はうまくつくられている。
生死の矛盾を意識すると共に、生き甲斐をも意識する....というよりも、これは本能的に躰で感じることができるようにつくられている。
たとえ、一椀の熱い味噌汁を口にしたとき、
(うまい!)
と感じるだけで、生き甲斐をおぼえることもある。
池波正太郎「食について」
昨晩、ひさしぶりに、池波正太郎のエセー『日曜日の万年筆』を読みました。池波正太郎は、じぶんは随筆を書くのが得意ではない、むしろ、苦手な人間なのだ、そう、何処かで書いていましたが、池波さんが書いた、いくつかの随筆集、『食卓の情景』、『散歩のときなにか食べたくなって』・・・食に関して書かれた随筆や、映画について触れた、『味と映画の歳時記』は、文章の洗練、時間の「古さ」を感じさせない、洒脱なエセー集であり、わたしににとっては、文字に触れたくない日であったり、文字に厭きていても、味読することのできるエセーの塊ということになるようです。
池波正太郎にとって、食べるとは、どのような意味をもっていたのか、あるいは、かれが舞台のために脚本を書いたり、演出の指導をしていた新国劇についての『想い』とは・・・いろいろな話題について、『日曜日の万年筆』では、作家自身が触れています。それらの異なるエセーの塊を集めて、一冊の本にしたとはいえ、変奏曲の主題が、いくつも音楽がデフォルメされていっても、変わらないように、池波正太郎の随筆の魅力は、ある主題が変奏されてゆく音楽のなかに、一貫して流れていることではないかしら・・・『日曜日の万年筆』で一貫しているのは、いかに、生を全うする、あるいは、したいのか・・さまざまな職業を体験し、成長していった作家の生についての示唆に富む言葉が、いくつも、随筆のなかに散りばめられていて、言葉に触れる人々を厭きさせません。
食について
人間は、生まれた瞬間から、死へ向かって歩みはじめる。
死ぬために生きはじめる。
そして、生きるために食べなくてはならない。
何という矛盾だろう。
これほどの矛盾は、ほかにあるまい。
つまり人間という生きものは、矛盾の象徴といってよい。
池波正太郎『食について』
眠るまえに、甘いものを味わうのはよくないのですが、昨夜は、池波さんの、ずっしりとした重い人生体験に裏打ちされた言葉に触れながら、一元屋の金鍔を味わっていました。一元屋さんの金鍔・・・と書いても、知っているひとは知っている、知らぬひとは知らない(笑)というように、メディアに頻繁に登場する老舗の菓子屋さん、あるいは、ネットなどで商品を販売し、盛業しているのではないので、知名度は低いかもしれません。けれど、味わいは、よく百貨店などでみる、老舗和菓店の金鍔などより、ひとつ、ふたつ、旨さが飛び抜けているように感じます。(^^)
金鍔というのは、どのように創るのか、わたしは行程は知りません。けれど、一元屋さんの金鍔が、材料も違うのではないかしら?いろいろな金鍔を食べていますが、アズキのしっかりした触感、抑えられた甘さ、かたちの丁度良さ・・・いろいろな意味で、「これはちょっと違う」というお菓子です。全国展開しているようではないし、わたしの好きな、センベイ屋の「さか口」のように、ネットや電話での注文も可能ではないようですが、ツヤツヤしたアズキの、たっぷりした金鍔というと、まず、一元屋さんの金鍔が、わたしの脳裏には浮かびます。
・・・池波正太郎さんは、いろいろ、食に関する随筆を書いていますし、お弟子さんである、佐藤さんが、池波正太郎と食にまつわる雑誌で連載を持っていましたし、池波さんと食についての本を書いているので、池波正太郎が両刀使い、甘党でもあり、酒飲みであったことは、ひろく知られているようです。もし、池波さんが存命であれば、是非、一元屋さんの金鍔を、読者として教えてあげたかったなぁ・・などと、今朝は、考えながら、あさ飯の金鍔、↑写真のものですが、ふたつ、味わっています♬
- 価格: 147yen〜
- メーカー: 一元屋(菓子)
- 原題: 金鍔
-
住所:
東京都千代田区麹町1-6-6(一元屋)
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- 2010/08/02更新
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コメント (4)
2010/08/02
花野のK 一元屋の「きんつば」ではないのですが、私も、大好きです。【池波正太郎】さんは深いですよねえ~、、。
テレジア 私、大好物です♪勤務先が目と鼻の先なもので、時折ふらっ~♪と立ち寄ってしまいます。週末や帰省シーズンの夕方には、個数が確保できないときもしばしばですよね。
たまる 花野のKさん、こんばんは★ きんつば、いいですよね。わたしは和菓子では、きんつば、好きです。一元屋さん、甘さも抑えめで品のある、きんつばです。東京のほうへお越しになるときは、是非!味わってみてくださいね(^^)
たまる テレジアさん、こんばんは★ テレジアさんもお好きなのですね。わたしは、ここのきんつば、大好きです。(^^)いつ行っても、欲しいだけ買えるというのではなくて、週末など、個数がないとき、ありますよねぇ。ふら〜っと寄って、食べるぶんだけ買ってしまうのがいいのではないかなぁ(・_・)と考えながら、買っています。(笑)
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