いしかわ・きゅうよう
石川九楊
前衛書家。キーワード化されてなかったのでしてしまおう。
文字という切り口で文化を語らせると、その鮮やかさ、面白さたるや白川静と並ぶ「にほんご」のプロフェッショナル。
「いきなり結論を述べれば…文字中心言語・東アジアにおける書は、声中心言語・ヨーロッパにおける音楽に相当する」
ええー。一聴して頓狂に聞こえるかもしれない石川 氏の言説は、読み進めるうち、僕らのアタマの中からすっぽり落ちていた文字の文化を発見させてしまう。
僕は不勉強なことに墨をすることもせず、また氏が批判するキーボード抜きではいられない体だけれど、それでも「その後」の日本語を考える上でも氏の文章は刺激的。だと思う。
書道作品は「文字とは筆蝕とその構成」(音楽でいうところの音響派みたいな事かな?)という主張を採り入れた、線が紙面いっぱいに重なり合い広がっているもの。文脈をしらなくても線を追っていて楽しめるほど奔放で美しい。(個人的には構成主義に接近しているように感じるのだが…)
そして、そんな石川さんが戦前の書道教育を受けたわけでない、戦後の生まれだということ。吉本隆明の詩を愛しタルコフスキーが好きだという石川さんは、やっぱり普通の書家のイメージから外れている。常に前衛であろうとしてきた氏の姿勢が現在の蓄積を生んだということだろう。その事実に、やはり尊敬の念を抱かずにはいられない。
【略歴】
書家、京都精華大学教授、文字文明研究所所長。昭和20年福井県生まれ。京都大学法学部卒。著書に『日本書史』、『中國書史』、『二重言語国家・日本』、『筆蝕の構造』、『一日一書』、『「書く」ということ』など多数。作品集に『しかし―石川九楊作品集』など。平成2年、『書の終焉』でサントリー学芸賞受賞。平成14年、日本文化デザイン賞、毎日出版文化賞受賞。先鋭的な書作活動と並行して、「書く」ことの意味の究明を根底に現代文明の根源的批判を展開する。
リンク先は所長を務める京都精華大学文字文明研究所。
http://www.kyoto-seika.ac.jp/hyogen/...
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