なにがどうして
何がどうして/ ナンシー関
著者の本を読んだのは今回が初めて。実は昨年の訃報を見るまで、ナンシーさんがあんなにも太っている人だと思わなかった。なのでそのこと自体にもショックであった。
何故か辛らつな文章を、「本人の人格」のような「イメージ」として既にインプットしていたが、実際にまとまって読んでみるとやはり面白い。この面白さは僕がどこかで避けていた形式のものでもあって、今すんなり読んでしまったことへ「そのこだわり」の優柔不断さと「もろさ」加減にちょっとウンザリしている所だ。
避けていた理由は、所謂ゴシップオンリーの批評であろうと思っていたこと。そして、そこにツキマトウものがあのワイドショーを見ているときの気持ち悪さへ通じるのではないかという「先読み」からである。しかしナンシー関の批評が発する憤りは、そんな大文字のワイドショーに対してであり、ステレオタイプの解釈であり、大衆の思考停止そのものへ向かっていたのだ。大いに共感してしまう「迫力」でもってそれは突き進んで来るのだった。
数々のコラムは「足の早い生もの」のように読み捨てられそうなトピックばかりを扱っている。時事ネタとして早いほど読者のリアクションを得られる反面、数年後にこうしてまとまって触れるには鮮度が足りないために「ん?」って感じのところもある。そんなある意味リスキーに見えるこの文庫本が、一見手に取ることを遠のかせてしまっていたのかも知れない。
しかし読後の今はまったくそんな思いなど何処かへ行ってしまった。この超越的なまでに「脱コード化」されたゴシップは、既にゴシップなどという小さな存在を超えて、人を観察する視点から読ませる術まで、なんとバラエティーに富んだ参考書であろうか。
師匠と慕うには遅すぎた時になってしまったが、ささやかに教科書としてそばに置いておくことにしよう・・。
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