ホウリノシマ
祝の島
「みに・キネマ・福井」の上映会で、ドキュメンタリー映画「祝の島」を見た。
舞台は、瀬戸内海にある人口約500人の祝島(山口県上関町)。中国電力が建設を進めている原発予定地の対岸に位置する。
山と海の恵みに支えられて暮らしてきた島民の暮らし、表情を2年間にわたり追いかけたという。
纐纈あやさんの初監督作品。プロデューサーは、「ナージャの森」「アレクセイと泉」などチェリノブイリ原発事故を題材にした作品で知られる本橋成一さん。纐纈あやさんは同じ事務所の弟子に当たる。
1982年に町長が原発誘致を表明して以来、島では原発反対の住民運動が展開されてきた。映画の中でも「海は財産」「宝の海」と言う彼らにとって、汚染のおそれがある原発を認めるわけにはいかないというわけだ。
映画では出てこないが、多額の漁業補償金の受け取りをずっと拒否しているという。
あいさつに立った纐纈さんは「対岸には原発予定地がある。ただ、住民の姿は原発反対という言葉ではくくれない。暮らし、時間の流れを感じてほしい」と話した。作中にデモなどのシーンも出てくるが、ほとんどは島の暮らしぶり。映像もクリアで美しい。
これも映画には出てこないが、島にはきっと原発に賛成の人もいる(いた?)のだろう。「原発が人間同士を引き裂いた」と漏らす登場人物。
人間関係が壊れて、だれも寄らなくなった神社が映されるが、石段には雑草が生え、うら寂しい雰囲気だ。
島の暮らしは不便だが、そこには人を生かしてくれるに十分な恵みが受け継がれてきた。
背丈以上の便利さを供給する象徴ともいえる原発が、彼岸の先の存在に思える。
- 2010/09/02登録
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