まるき・ど・さど
マルキ・ド・サド
サディズムの語源として耳にするスキャンダラスな文学者、マルキ・ド・サド。正式名はドナスィアン・アルフォンス・フランソワ伯爵という。
18世紀の絶対王政が崩壊しつつある時代を生き、没落する貴族階級の放蕩するイメージをしょって立ったことで、彼の伝説は始まる。現実に暴行、乱交、近親との不倫、同性愛といった数え切れないほどの罪を犯し続けた容疑で、27年もの獄中生活を強いられる人生を過ごした。
宗教の冒とくという烙印を押され、監禁状態に置かれながらも「書く」ことへ飽くなき執念を燃やし続けたサドの精神は「マゾ」的ですらある。
サド作品は澁澤龍彦の諸文献で夙に有名で、「悪徳の榮」主人公ジュリエットの倒錯的で悪徳を重ねながらの生涯を描いた作品だが、「道徳(体制)の形式を破壊し人間の解放の真理を賛える」喝采ものの書である。
彼の作品群は紛れもなく「悪書」であるし、特に「悪徳の榮」は世界一の悪書である。しかし、恣意的な当局の処分によって、発禁にされようと焚書にされようと滅びえぬ、筋金入りの悪書なのである。
モオリス・ブランショによっては「エネルギッシュな魂のゆるやかな形成を認識することを我々に教える一種の修業の書」であり、いわば裏返しの教養小説であるとまで規定されている。
人間を解放する哲学を体現為しめんとしたサドの叫びを澁澤龍彦氏の文章を借りて以下に記す。
<生涯を五つの体制(サルジニア王、ルイ十六世、革命政府、将軍ボナパルト、皇帝ナポレオンがそれぞれサドを監禁した)の下における獄中で過さねばならなかったサドの、真実の叫びをここに記して、永遠に自由な文学の精神と、この自由を窒息せしめんとする権力との対立を、浮き彫りにしておきたいと思う。
『おお、ありとあらゆる治世の、ありとあらゆる国家の殺戮者よ、投獄者よ、馬鹿者よ、いつになったら君たちは、人間を閉じ込め死なせる技術よりも、人間を知る技術を尊重するようになるのだろう!』>
*サド作品は映画化を多数されている。画像はジュリエット役のマリア・ローム
- 2001/12/16更新
- 2001/12/16登録
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