ハコオトコ/アベコウボウ
箱男/安部公房
以前NHKで放送していた安部公房のインタヴューを目にしてから、ずっと気になってましたが、やっと去年の春から彼の作品を読み始めました。最初に手にしたのは「箱男」。池袋の芸術劇場裏手にある古本屋で見つけました。箱入りのハードカバーでしたが、300円とお手頃な価格でちょっと得した気分。頁を開けるといきなり箱男による箱男になるための箱の作り方が材料から寸法まで事細かく説明されていてビックリ。続いて箱男に感染して自らも箱男になってしまった平凡な男の話を上げながら、誰もが箱男になりうる危うい存在であることを警告すると共に、この物語の普遍性をも浮かび上がらせ、読む者を不安にさせる。読者はその精密な描写に裏打ちされた世界にどんどん引き込まれる内に、次第に現実と非現実の境目が分からなくなり、また我も箱男なりと唱えずを得ないような状況にまで追い込まれてしまう。(と言うか、ちょっとなりたいなんて気にさせられてしまう)本当に危険な文章です。しかも物語を書いているのが誰なのか、誰がいつ経験した話をしているのかが、だんだんあやふやになって行く。しまいには誰が本当の(贋の)「箱男」か分からなくなってしまう。まるでプチ、マルコヴィッチ状態。でもこの支離滅裂さが逆に現代の若い人には受けてしまいそうな気がするんですが...。とにかく何度でも読み返したくなる作品です。毎回違う発見があります。ちなみに彼の作品にはポルノチックな所があり、この作品も例外じゃありません。この「箱男」を元にしたフジのミニドラマがお蔵入りになってしまったそうで、悲しい限りです。若かりし緒川たまきが演じた奔放な看護婦、戸山葉子。見たかったな。復刻版望みます。出来たらVIDEOで。お願い!
- 人名: 安部公房
- 年(代): 1924ー1993
- 東大医学部卒
- 1951年「壁」で芥川賞受賞
- 他の代表作「砂の女」「密会」「燃えつきた地図」
- 「他人の顔」「方舟さくら丸」「カンガルー・ノート」
- 2003/02/04更新
- 2003/02/04登録
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コメント (4)
2003/02/05
Poughkeepsie 25年前?の話。パルコ劇場公演が引け、ふらっと御本人が。一階で洋モクを買い求め、今はなき「ジャン・ジャン」裏の稽古場へ消えて行かれました。戯曲としては「棒になった男」ですかね。後期「箱男」(今でこそ、そこかしこにいますが…)「密会」「方舟さくら丸」までかな。もんどりあんさん→http://www.kanshin.com/index.php3?...
2003/02/14
尽頭子 確かに安部公房の作品は映像にしてみたくなります。僕的には映画にして欲しいんですけど。「箱男」ラストの作りかけの橋の上に立ちつくすくだりなんか映像にされたら堪らないですね。「密会」の巨大な病院の世界もセットで造ったら凄そうです。僕は公房の描くあの〝疚しさ〟が好きです。それと主人公に妙に優しい女たちが。たぶん女性に求めてるものが似てるんでしょうね。ちょっと恐い気がしますが。
尽頭子 「砂の女」は岸田今日子の代表作でよく知ってるんですが、「燃えつきた地図」は知りませんでした。これは見てみたいです。「他人の顔」も本人の脚本で映画化されたらしいんですけど、こちらはお蔵入りになってそうですね。
2003/11/24
minta ありえない不条理な設定がいつしか現実となる。不安感と期待感の微妙なバランスが好きです。『砂の女』『第四間氷期』『箱男』・・・
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「箱男」安部公房
- (fluffy07)
すみません。解りませんでした。 場面が頻繁に変わる。 「ストーリ」ってあるんですか? 何を表しているのかが、解らなかったです。 語っている人も(どうやら)何人かいるよ...
箱男/安部公房
- (machibey)
ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋...
安部公房
- (サボタン)
小説家。 難解だと敬遠する人も多いようだが、実際には読みやすいし面白い。現代人に共通する主題を扱っているため、何十年経っても古さを感じない。海外でも評価が高いのはこの普遍性によるのだろう。...
安部公房
- (裏塩見)
「自分探し」「アイデンテテーとは何ぞや?」を死ぬまで一貫して著作のテーマにした作家さん。 主人公は、ダンボールの箱をかぶっていたり、足からかいわれ大根が生えてきたり、鞄に...
カンガルーノート
- (chillchillmichill)
人の考える現実なんてそれほど強固なものではないのかもしれないですねぇ。現実に作られているのか、現実を作っているのか?自分の世界は他者の現実とどれだけ適合しているのかなんて...
安部公房
- (minta)
好きな作家の5本の指に入ります。カンゼンに。流されてしまってはいけない「不条理」ととことん人間の存在を「哲学」する作風が大好きです。どの作品を読んでも後ろを振り向きながら...
安部公房
- (くりとっけ)
私の好きな作家です。アブストラクトなストーリー展開、ダークかつ気の利いた言い回しとか、すごくいいです。作品”箱男”の中では、作家本人がとった写真も載っています。 おすすめ...
文學ト云フ事
- (xenon)
6年くらい前のテレビ番組。 名作と言われる文学をドラマ仕立てで 紹介する番組。 あまりにも昔の番組なので 記憶がうろ覚えですが、 夏目漱石「夢十夜」や 安倍公房「箱男」なんかをやってました。...
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